<1つの集合住宅で2人目の感染者。1人目の感染者は10階も上の住人だ。配管を共有する34戸の100人以上が隔離施設に移送された>
香港の衛生当局は2月11日、新界にある長康村のアパート「康美樓」から100人以上の住人を避難させたと発表した。新型コロナウイルス(COVID-19)に感染した住人が2人見つかったからだ。2人は35階建てのアパートの別々の階の住人で、危険な新型コロナウイルスが配管を通して広まっているのではないか、という不安が広がっている。
騒ぎのきっかけは、後から感染が明らかになった62歳の女性の浴室で、封止していない配管が見つかったこと。この女性は、それ以前に感染したもう一人の住人の10階も下に住んでおり、この配管が感染経路かもしれないと疑われた。
香港政府食品・衛生局の陳肇始(ソフィア・チャン)局長によると、3つの別々の部屋に住む入居者4人にも、発熱、乾いた咳、息切れ、呼吸困難といった新型コロナウイルス肺炎の症状が見られたという。
AFP通信によれば、2月11日の朝早く、マスクと白い防護服を身につけた衛生当局者が康美樓に殺到。ウイルスがビル全体に広がっているのかどうかを調べる間、予防的措置として住人は避難させられた。同じ排水管でつながる34戸の100人以上の住人が隔離施設に移された。「感染の正確な経路はまだわからない」と、衛生防護中心(CHP)の黄加慶(ウオン・ジアチン)は念を押す。「飛沫感染や接触感染という普通の経路だった可能性もある」
<「自宅にもいられない」>
入居者のある女性は、「チャン」という姓だけを名乗ってAFPにこう語った。「もちろん怖いに決まっている」「マスクが足りないので、家族も外出はめったにしなくなった。孫たちも廊下では遊ばせないようにしていたが、今は自宅にもいられなくなった」
今回と似たようなことは、2003年にSARSが流行したときにも起こった。SARS流行の際には、香港のある集合住宅の入居者229人が劣悪な配管を通じて感染し、42人が死亡した。ただし、香港政府運輸・住宅局の陳帆(フランク・チャン)局長は、今回康美樓で起きた新型コロナウイルスの感染例は、SARSの例とは比べられないと、ニューヨーク・タイムズに語った。COVID-19はきわめて新しいウイルスのため、感染ルートはまだ完全に特定されていない。
新型コロナウイルスに当局が注目するようになったのは、中国中部の湖北省・武漢市にある海鮮卸売市場で働く人たちが相次いで倒れた2019年末のことだ。以降、香港も含む中国の感染者数は4万4000人を超え、死者は1113人にのぼっている。
(翻訳:ガリレオ)
カシュミラ・ガンダー
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2020-02-12 09:41:52Z
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