Saturday, October 29, 2022

昆虫ガストロノミーで開眼、「地球を食べる」愛と哲学。|Beauty|Beauty|madameFIGARO.jp(フィガロジャポン) - フィガロジャポン

makanresto.blogspot.com

前回の記事で昆虫食のメリットを紹介したが、昆虫を含む豊かな生き物たちを地球丸ごと食べたいなら、ガストロノミー「アントシカダ」に足を運んでほしい。

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都内で、こんなにも愛と哲学を持って設計しつくされ、五感を通した未知なる出会いによって感情を揺さぶる食体験を提供してくれるガストロノミーは指折りだろう。

幼少期から昆虫を愛しすぎ、地球に対して好奇心旺盛すぎる篠原祐太氏が、仲間とともに始めた「地球を食べる」をテーマにしたフードラボ&レストラン「ANTCICADA(アントシカダ)」。

初めて篠原氏と対話したのは、「生き物からみた地球」をテーマにしたトークイベント。
幼少期から自然の中で遊びながらさまざまな昆虫を食していた彼は「桜の木にいる幼虫は、桜餅の味がする」と当時知ったというエピソードを披露して度肝を抜いた。
しかし彼らの作り出す世界観は、ゲテモノとは対極にある芸術の域。もし、昆虫食に少しばかりの興味があるならば、この店の扉を開くことをおすすめしたい。

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東京・馬喰町。通り過ぎてしまいそうな路地のマンション1階に小さな看板がある。
扉を開けると、照明を落とした静かな空間に、数々の実験的発酵食品の瓶や昆虫由来の酒などが並ぶ棚が浮かび上がる。
彼はここで、微生物から昆虫、植物、動物、地球の全てを愛し、食する喜びを提供する。

食事は完全予約制で、一斉スタート。
キッチンを囲むコの字型のカウンターテーブルに着席する客は皆、この冒険の仲間たちのようで気分が高揚する。

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10皿のコース料理には、アルコールかノンアルコールのペアリングドリンクが付く。

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「草陰〜いなご、カリフラワー、春菊の泡」
いなごはカリカリとしたアクセントのある食感で、クセがなく食べやすい。

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「鹿、蚕沙、人参」
地球料理だから、昆虫だけではなく、ジビエ料理も提供される。
「蚕沙」とは、漢方薬としても使われる蚕のフン。桑の葉が蚕の腸内で消化されたもので、血流改善効果も。蚕沙の酒や蚕沙の茶を使ったコンブチャとのペアリングはおもしろい。

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「フェモラータオオモモブトハムシ」
デザートは、ゼリーの中に閉じ込められている幼虫。ファーストバイトの瞬間に少し勇気はいったが、なんと杏仁豆腐のような味。実は冷蔵庫で数日寝かせると、自らこの芳香を放ちだすのだとか。

コースを通して印象に残ったのは、「昆虫はこんなにアロマティックなのか!」ということ。特に驚いたのはタガメで、なんと洋梨のアロマなのだ。これはタガメのフェロモンなのだそう。

もちろん、アントシカダのチームが十分に吟味してくれているからこんな体験ができるのだが、それぞれの昆虫の特徴をマニアックに把握しながら、地球のあらゆる生き物と組み合わせて美しい皿に納める技は本当に見事で、生命への愛と生きる喜びに満ちた食体験に、魂が喜んだ。

日常を忘れる空間設計と、彼らが展開するストーリーにハマり、気がつけば、姿形ある昆虫も全て身体の一部として消化されていた。

繰り返し言うが、人生で初めて昆虫を口にするならば、一気にその世界に引き摺り込んでくれるアントシカダの扉を開くことをおすすめしたい。

締めのコオロギラーメンは、単品メニューとして日曜日限定で食べられるので、気軽に足を運んでみては。

アントシカダ|ANTCICADA
東京都中央区日本橋馬喰町2-4-6
tel:03-6881-0412
営)
・コオロギラーメン
日曜日(11:00~15:00、17:00~21:00)
・コース料理
金曜日(18:30~) 土曜日(12:00~、18:30~)
休)月~木
コース料理は要予約
https://antcicada.com

 

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