『植物はなぜ毒があるのか』
アジサイが美しい季節になった。道沿いに咲く鮮やかな姿に心癒やされる人も多いだろう。だがそのアジサイの葉には「毒」があることをご存じだろうか。青酸やフェブリフジンといった人体にとって有毒な物質が含まれており、食べると嘔吐(おうと)や吐き気、めまいに苦しめられる。季節感があるからといって、間違っても料理の飾りにはしないことだ。 このように、身近に存在する有毒植物について詳しく説明しているのが本書『植物はなぜ毒があるのか』。ここ10年の有毒植物による食中毒被害データを参照しながら、毒の特徴やメカニズム、有毒植物に接するときの注意点、さらには毒にまつわるトリビア的な知識を紹介。植物生理学の専門家で甲南大学教授の田中修氏と、脳神経病理学が専門の弘前大学助教の丹治邦和氏の共著で、医学的・疫学的な見地からも植物の効用を解説しているのが特徴だ。
ニラと間違えて食中毒に
ジャガイモ、スイセン、イヌサフラン。これはほぼ毎年、食中毒を起こしている「身近な三大有毒植物」である。本書によると、過去10年の間にジャガイモで食中毒になった患者は346人、スイセンでは180人、イヌサフランは患者数こそ19人だが死亡者は8人に上る。
ジャガイモの芽に毒があることはよく知られているが、その「芽かき」(芽の部分を深く取り除くこと)が不十分であったり、緑色の表皮にも毒が含まれることを知らずに食してしまうことが食中毒の原因になっている。スイセンとイヌサフランは「誤食」が原因だ。それぞれ、「ニラ」と「ギョウジャニンニク」に間違えられて食卓にのぼってしまうのだという。 とくにスイセンは、観賞用としても好まれ、あちこちで栽培されている。自生もしている。だが葉っぱや根に「リコリン」という有毒物質を持っていることはあまり知られていない。リコリンは消化器系に働きかけ、吐き気、嘔吐、下痢といった症状を引き起こす。家庭菜園などで植栽する場合はニラと混ざらないよう、じゅうぶんに注意されたい。
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June 05, 2020 at 03:40PM
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ニラと間違えて食べる人が相次ぐ「あの毒草」 身近な植物に危険がいっぱい(NIKKEI STYLE) - Yahoo!ニュース
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