Wednesday, June 17, 2020

「食べる」を通して文化を伝える職業 「食文化」に関わる仕事6選 - ジョイキャリア

いつもの、何気ない食卓。お味噌汁に卵焼き、お惣菜にほかほかのお米。たとえばそのお惣菜、どこの家庭にもあると思っていたら実は地域特有のものだった、なんて経験ありませんか? 食には、歴史や地域の生活様式があります。今回は、多種多様な“食文化”に関わる仕事を紹介していきます。

“食”に歴史あり。多種多様に存在する「食文化」とは

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“親しみある味”は人によって違う。そこには、食文化が関係しているのかも

食文化とはその名の通り、食にまつわる文化のことです。民族、宗教、地域、国家など、世界中のさまざまなコミュニティーに存在しています。日本国内をみても、たとえば京都の「おばんざい」、長崎の「卓袱料理」、岩手の「わんこそば」のように、多種多様です。

食文化は、さまざまな経緯を経て土着のものとなっています。たとえば石川の「加賀料理」は、奈良・平安時代の海外交流や、江戸時代に物流船の拠点を設けていたことなどの影響を受けて発展したといわれています。

地域を限らない日本としての食文化もあり、たとえば「和食」は、2013年に「和食;日本人の伝統的な食文化」としてユネスコ無形文化遺産に登録されています。

和食は、時代にあわせて変化を繰り返してきました。たとえば江戸以前、仏教の影響を受けて“肉”がタブー視されていましたが、明治以降の西洋文化流入により「肉じゃが」「すき焼き」「カレーライス」などの和洋折衷料理が、和食としての新しい定番となっていったのです。

このように“食”には、歴史があります。ここからは、そんな“食”と“食文化”に関わる仕事を、いくつか紹介していきましょう。

あたらしい“料理”をつくりだす『料理研究家』の仕事

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あたらしいレシピを、多くの人に届ける

料理研究家は、料理の味や栄養価などを研究し、開発したレシピを人に伝える仕事です。就業方法や働き方は多種多様で、フリーランスとして個人のSNSやHPなどでレシピを公開したり、著名料理研究家のアシスタントとして技術を学ぶ、あるいは料理人として働いた後に独立したりと、あらゆる道があります。

自書を出版したり、メディア出演や、講演会を行うこともあります。ほかにも料理教室を開いたり、食品メーカーや専門学校に勤務する就業形態もあります。

就業に必ず必要な資格はありませんが、専門性の高い職業であるため、調理師、栄養士、管理栄養士、フードコーディネーターなどの関連資格を取得しておくと有利です。食文化をはじめとした料理に関する知識、食材を組み合わせ新しいレシピをつくる創造力、それを発信するプレゼンテーション能力や、ユーモアも必要でしょう。

料理研究家は、あらゆる場所や方法をもって“食”の魅力を伝えます。最近ではインスタグラムやTwitterなどのSNSを活用して映える写真や投稿によりインフルエンサーと呼ばれ影響を与える料理研究家も増えています。未来の、あたらしい食文化をつくりだすことも可能な仕事なのではないでしょうか。

お米の魅力を消費者に届ける匠 『お米マイスター』の仕事

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一口に「米」といっても、その種類はさまざま

お米マイスターは、“お米”という日本の食文化を広く普及し、未来へつなぐ仕事です。米穀店や米穀の調査機関、米の輸出入を行う企業など、「米」を扱うあらゆる場所で、米に関する幅広い知識を活かし仕事をします。米の種類や、精米・ブレンド技術、炊き方など、米に特化した知識を、企業の商品開発や、学校の食育講義などで役立てることもあります。

「お米マイスター」は、一般社団法人・日本米穀商連合会が発行する民間資格であり、名乗るには資格の取得が必要です。応募資格には3つの条件があり、「米穀小売業に5年以上従事されている方」など、ある程度の知識を既に保有している人に限られます。

お米マイスターには「三ツ星お米マイスター」と、その上位資格「五ツ星お米マイスター」があります。認定試験はそれぞれ、三ツ星お米マイスターは筆記によって知識的実力を、五ツ星お米マイスターは実技によって技術力が問われます。

“米の専門家”として、常に米に関する情報を得続けようとする情熱をはじめ、米の良さを周囲に伝えようとする主体性、発信力が必須です。米の新たな価値を探そうとする創造力や、新しい商品を売り込むためのプレゼンテーション能力、コミュニケーション能力も必要です。

日本の食卓に今やあたりまえのようにある「米」ですが、知れば知るほど奥深い食べ物でもあります。お米マイスターは、米の真価を人々に伝える仕事なのです。

客観的な視点で地域の魅力を引き出す『地域おこし協力隊』の仕事

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新鮮な視点で価値を見つける

地域おこし協力隊とは、人口減少や高齢化などが著しい地域で、地域協力活動を行う仕事です。地方自治体で会計年度任用職員として、あるいは業務委託を受け、おおむね1~3年の期間、地域に住み就業をします。

活動内容は各自治体によって異なります。特産品の製造販売、伝統食文化の継承業務、高齢者サポート、空き家補修など、地域に密着し人々に求められている仕事を行うのです。協力隊員、隊員、とも呼ばれます。

「地域おこし協力隊」は、地方へ人の流れを作り、地域力の充実と強化を図ることを目的とした総務省の取り組みのひとつです。取り組みの意義を理解し、多くの人の期待に答えようとする積極性、主体性が必要です。また、地域の人々と良好な関係を築くためのコミュニケーション能力、柔軟性、規律性も必須でしょう。

“食”に関わる地域おこし協力隊は、地域に密着し、埋もれている価値を見つけ、多くの人にそれを発信します。たとえば、地域に根付いた食文化は、代々近しい人たちの中で口頭で伝えられているものも多くあります。それらを具体的な文字に起こし、一般の人にも見える価値とするのです。また、地元の人しか知らない特産品を発掘したり、新しい料理をつくりだしたりもします。それらをSNSなどで広く発信し、食文化の発展・継承に貢献します。

地域おこし協力隊の任期を終えた後は、地域に定住し起業したり、地域の企業で就業、就農したりとあらゆる可能性が待っています。

食のインフラを支える『農林水産省職員』の仕事

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現場の声を聞き、国家公務員としての仕事を果たす

農林水産省職員は、「生命を支える『食』と安心して暮らせる『環境』」を未来へ繋ぐ、農林水産省にて勤務する国家公務員です。食品の安定供給をはじめ、水田や畑などの環境保全、農山漁村の振興、農林水産物の輸出入に関する業務、国内の食文化を保護・継承する取り組みなど、関係分野を幅広く取り扱います。

農林水産省職員の仕事は、大きく分けて「一般職」と「総合職」があり、そこからさらに専門分野ごとに細分化されています。たとえば一般職でいうと、「一般職技術系」「畜産系技術職」「水産系技術職」などに分かれており、それぞれの組織で政策の実施に携わり、担当分野のプロフェッショナルを目指すのです。

就業にはそれぞれの国家公務員試験に合格してから、希望する組織の採用試験を受ける必要があります。また、農林水産業を発展させたいという熱意や、課題発見力をはじめ、周囲の人々と協力して業務をするためのコミュニケーション能力、柔軟性も必須です。

農林水産省では、グリーン・ツーリズム、全国子ども和食王選手権、SAVOR JAPANなど、食文化に関わる業務を数多く行っています。日本の食と食文化を国内外に発信し、その保護や、未来の日本を担う子どもたちへの食育、あらたなインバウンド需要につなげています。

農林水産省職員は、日本の農林水産業の発展や食文化の継承に関する諸問題の解決に広く関わることができる、意義深い職業といえるでしょう。

“食”のトレンドを生み出す『フードコーディネーター』の仕事

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食品の栄養、バランス、見た目、ニーズ、総合的な知識を活用する

フードコーディネーターとは、“食”の開発、演出、運営をする「食の専門家」です。食品メーカー、飲食店、行政機関などから依頼され、メニューの開発をしたり、空間コーディネートを施したり、経営に携わったりなど、ありとあらゆる“食”に関する業務を行います。フードコンサルティングを専門とする企業に所属したり、フリーランスでの就業も可能です。

「フードコーディネーター」は、特定非営利活動法人・日本フードコーディネーター協会の発行する民間資格です。1~3級があり、取得には、食文化や調理に関する知識、食に関する科学的知識、経済・経営知識、アート・デザインに関する知識と、幅広い見識が問われます。

専門的な知識や技術はもちろん、広い分野内を総合的な視点で見渡す力や、あらゆる場所や人と仕事をするためのコミュニケーション能力、柔軟性、コーディネーターとしての傾聴力、提案力も必須でしょう。

また近年は、影響力の強い人物のサポートとして裏方的に仕事をすることも増加しています。芸能人や有名人が料理を紹介したり、キャンプ料理を披露したりする番組の、企画、スタイリング、監修などに関わるのです。

あらゆる形で“食”をビジネスに反映させるフードコーディネーターという職業は、世界中の食文化の発展に携わることができる、夢ある仕事なのではないでしょうか。

温故知新、変貌しつつある『駄菓子屋』の仕事

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1つ買いから箱買いまで。楽しく美味しい“駄菓子”というアミューズメント

駄菓子屋は、おもに子どもを対象とした駄菓子やおもちゃを売る仕事です。経営者として小売店を持ったり、駄菓子販売を専門とする企業の社員やアルバイトとして就業します。また、リヤカーなどを用いて移動式の駄菓子屋を営んだり、ECサイトを運営することもあります。

就業に必要な資格はとくにありませんが、子どもに親しまれるコミュニケーション能力をはじめ、柔軟性やユーモアが必須でしょう。子どものみならず昔を懐かしむ大人、外国人観光客など、あらゆるニーズを探し出し販売戦略をたてるマーケティング力、事務処理能力、企画力や主体性も必要です。

駄菓子の歴史は長く、少なくとも江戸時代ごろには、水飴と雑穀などから作られた安価な間食である「一文菓子」や、飴を売り歩く「飴売り」という行商が存在していたといわれています。

一方近年では、“進化系駄菓子屋”が現れはじめています。たとえば「駄菓子屋ROCK」は、駄菓子をいっぱいに乗せるリアカーをカブで引き、駄菓子のみならず“人と人とのふれあいができる場所”を子どもたちに提供しています。エレキギターや和太鼓、櫓(やぐら)などを活用した型にとらわれない経営を提示し、駄菓子屋という文化を継承しています。

駄菓子屋は、世代を問わず人々に楽しみを与えるたけでなく、“駄菓子”という食文化を、人々に提供する仕事でもあるのです。

【まとめ】変化し、継承される“食文化”

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変わらないものを持ちつつ、より多くの人に愛されるよう変化していく

「文化」とは、なんでしょう。あらためて考えてみるとさまざまなニュアンスを持った漠然とした単語です。ひとつ分かることは、「文化」は、ある日突然ふって現れはしないということ。それぞれのコミュニティーのなかで、長い年月をかけ、たくさんの人と関わり、少しずつ形成されていくものなのではと思います。

たとえば江戸の人々が食べた和食と、令和の私たちが食べている和食は、同じところもあれば、まったく違うところもあるでしょう。日本のなかで、長い年月をかけ、人々が創意工夫を続けてきたからこそ、“和食”は食文化となったのです。

多様化やグローバリズムが進む時代、食の生産や流通も大きく変わり、人も変わっています。そして、今の日本にはあらゆる国の食や生活様式に触れることが可能となっています。

食文化に関わる仕事は、文化を守るだけでなく新しい時代にあわせて、文化が失われないように少しずつ変化させていく仕事でもあります。変わらないものと変わっていくものがあるからこそ、“文化”は未来へと受け継がれていくのではないでしょうか。

この記事を書いたライター

西繭香

西繭香

1992年生まれ。20歳の時に現在のパートナーと出会うまで、自分をマジョリティだと思っていたセクシャルマイノリティ(あと腐女子)。 「どんな人にも優しい記事」を目標に、多角的な物事を等身大の視点から分かりやすく執筆している。人の話を聞く事と、ディズニーシーと猫が好き。 Twitter: @Nishi_mayuka

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