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マウスウォッシュを切らしてドラッグストアに買いに行くと、見たことのないパッケージの商品が並んでいる。
ボトルに貼られたポップの「極甘」の字が目をひく。「デザート気分」、「ダイエット中の方にも」、ともある。
モンダミンのシリーズ商品らしいが、甘さを特徴として押し出したマウスウォッシュははじめて見た。
それが「モンダミン エクストラスイート」
店頭で買ったのは陳列のラスト1本。モンダミンの公式サイトを見ても商品一覧にはなく、すでに生産は終了し在庫が販売されている状況とのことだ。
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発売開始は2022年の2月だというから、元気に発売中のうちはうっかり知らないまま、在庫限りになった今ぎりぎり存在を知ることができた、ということのようだ。
モンダミンとひと口にいってもランナップ展開は多い。
刺激の弱さをうりにしたものはこれまで見たことがあるし、キッズ向けの商品もぶどう味といちご味がある。
しかし極甘をうたう、甘いことに全振りする商品はこれまでなかったんじゃないか。
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子どもの頃、ジュースや炭酸飲料など、甘い飲み物を口にふくんでぶくぶくさせる背徳の遊びをしたことあったが(あったんですよ)、あれが合法的にできると思うと人類の進歩と調和を感じる。
パッケージは表面だけなく、裏面もしっかりと甘さを訴求している。
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「驚きの極甘でも、しっかり虫歯予防」というのがこの商品の肝で、これはキシリトールなどの甘味料を使うことでうまいこと実装したらしい。
驚いたのはその下「甘いものが欲しくなる食後にお口ケアして健やかに」である。
食後に甘いものを食べるのを、口をすすぐ液の甘さで我慢しようじゃないかという提案だ。
食後のおやつの代替としてのマウスウォッシュ。その発想は完全になかった。
モンダミンの部署の人が寝ても覚めてもモンダミンのことを考えているからこそ生まれた商品だろう。
一般人が驚く商品はいつだって会社の人がそのことだけを考え続けた先に生まれる。
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刺激が足りないか、いらないか
使ってみよう。どんだけ甘いのか見せてもらおうじゃないか。編集部の橋田さんと石川くんと私でためしてみた。
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われわれの感想はこうだ。
- 甘い、本当に甘い(3人)
- バニラっぽい風味がある(石川)
- メイプルシロップの味がする、ぼんやりだがパンケーキを食べたあとの口になる(古賀)
- プリンとも言えるかも(橋田)
- 刺激が怖い勢としてはこれは助かる、買いたい(橋田)
- スッキリはしない(石川)
- 効いているのかの不安は残る(古賀)
私が「不安だ」というのは、おそらく普段高刺激タイプのマウスウォッシュを愛用しているからだ。
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刺激側の人間にとっては低刺激なのはやはり物足りない。いっぽう、刺激が苦手な橋田さんはかなり気に入ったようだ。
概念としての「デザート」の味がする
全体として、甘いことは理解するも「どんな味なのか」についてはどうもうまく言いあらわし切れない、手ごたえの無さが残りもどかしい。
3人でああでもないこうでもないと話しながら改めてボトルをながめ、背景になぞのデザインが施されているのに気づいた。
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チョコレートとかケーキとか、何かの味ではなく「極甘」なだけに、特定のデザートの絵が描けない。そのなかで、甘そうななにかを描いたぎりぎりの、これは表現なんじゃないか。
味も結果的にはこの「甘そうななにか」のイメージに近い。
なんらかのデザートなのだろうとは思うのだ。バニラ、メイプル風味、プリン風というのは確かで、その先がうかんで消えてぼんやりとしてたどりつけない。
口内に残ったこれは、概念としての甘さなんじゃないか。
刺激でスッキリさせなくてもよかった
もうひとつ腑に落ちないのが、マウスウォッシュなのにスカッとしないことだ。
ゆすいだ口は甘さでいっぱいになる。けれどカロリーはなくて効能がある。
うたわれるのは、虫歯予防と洗浄効果、口臭予防。ということは、そもそも虫歯・口臭の予防と洗浄は刺激がなくてもいけるということだったのか。
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高刺激派の私はこれまでばちばちの刺激で虫歯や口臭のもとを口内で爆発し霧散しているイメージを持っていたのだけど、そういうことではなかったのか……。
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両商品は正しくは効能に差異もあるようだが、なにしろ低刺激どころじゃない、極甘でもマウスウォッシュとして成立するのには驚いた。
語りつごう、その存在を
商品の入れ替わりの激しさというと清涼飲料水やお菓子、それにカップラーメンの世界で厳しいイメージがあったが、日用品もこうして生まれては消えていく。
花柄のトイレットペーパーとか、まだあるようだけど以前より見なくなった気がするし、なんだったのだろうというものほど覚えておきたい。
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からの記事と詳細 ( 甘いものを食べるかわりに口をゆすぐ、極甘モンダミンとは何だったのか - デイリーポータルZ )
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