年を取ったらしっかり食べ、食事は「1にカロリー、2にたんぱく質」が鉄則と説くのが、在宅医療のエキスパートである佐々木淳氏だ。要介護状態の前段階ともいえるフレイル(虚弱)のリスクに備えるための食事として、肉料理や卵料理に加え、なんとハンバーガーなどのファストフードもお勧めだという。いったいどういうことだろうか?
年を取ったら、フレイル(虚弱)に備えるため、「1にカロリー、2にたんぱく質」が食事の鉄則だ。意外な食品が有効だという(写真はイメージ=PIXTA)
「1にカロリー、2にたんぱく質」で、肉を毎日食べてもOK
在宅医療のエキスパートで、これまでに数千人の高齢者を診察してきた医療法人社団悠翔会理事長の佐々木淳氏は、個人差もあるが、「一般的に70代後半になるとフレイル(虚弱)のリスクが高まってくるので、健康についての常識を180度転換したほうがいい」と力説する。
フレイルとは、加齢とともに心身の活力(筋力や認知機能など)が低下した状態のこと。佐々木氏によると、フレイルは「低栄養」から始まるという。食事の量が少ないと、足りないエネルギー(カロリー)を補うために筋肉が分解され、筋肉が減ることで「歩行速度が遅くなって横断歩道を渡り切れなくなる」「力が弱くなってペットボトルのキャップが開けられない」といった生活上の支障が起きる。
そして、前々回も解説したように、フレイルはやがて「骨折」と「誤嚥性肺炎」を引き起こし、それが高齢者の寝たきりや入院につながっていく。
このフレイルを避けるためには、「年を取ったら食事はとにかくたくさん食べる」ことが大切だ。前回、そのためには、「1にカロリー、2にたんぱく質」が食事の鉄則であると述べた。
また、塩分やコレステロールも気にし過ぎなくていい。血圧を気にして、食事の塩分を制限することが健康のためになると思うかもしれないが、高齢になると若いころほど塩分制限のメリットを得られないので、おかずの味付けを濃いめにしてモリモリ食べたほうがフレイルの予防につながる。同様に、コレステロールのとり過ぎを気にして卵を控えるよりも、たんぱく質とエネルギー(カロリー)をとるため、シニアは1日に卵を1~2個食べるのもよいという。
特集の最終回となる今回は、フレイルを予防する食事について、さらに深掘りしていこう。佐々木氏は、「肉を毎日食べる」「ファストフードもOK」「食欲がないときは、チョコレートやアイスクリームも活用」などと、驚くような食事のコツを教えてくれる。一つずつ解説していこう。
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