2歳半の女の子を連れて、お母さんがやってきました。問診票を見ると「アレルギー検査希望」と書いてあります。
「先生、うちの子、春から保育園に入るんですけど、卵アレルギーの検査をしてくるように保育園から言われたんです」
除去だけが正解ではない
「普段、卵料理はどうしているんですか?」
「それが、あまり食べさせていないんです。ビスケットなどは食べているんですが、いり卵とかは与えていません」
「それはなぜですか? もしや、赤ちゃんのときに?」
「ええ、1歳前のときに溶き卵を食べさせたら、顔が真っ赤になってしまったんです。近くのクリニックに行ったら、卵料理を除去するように指導されたんです」
なるほど、よくある話ですね。人間の持っている免疫物質のうち、アレルギー原因物質に対して働いてしまうものを「免疫グロブリンE」といいます。確かに、10年くらい前までは、小児科の先生も盛んにお子さんから採血して免疫グロブリンEの値を測っていました。
そして、その値が非常に強く出ると、その食品を除去しなさいと指導することが一般的でした。しかし、このことが食物アレルギーの子を増やした一因という説もあります。除去は必ずしも正解ではありません。むしろ、少しずつ注意しながら食べることで、食物アレルギーは消えていきます。
人間の体には、2つのルートでアレルギー物質が入り込んでいきます。一つは皮膚です。アレルギー物質が肌を通過すると血液の中に入り込み、そこで免疫グロブリンEがつくられてアレルギーが成立します。だから、弱い肌はよくありません。赤ちゃんの頃から保湿を十分にして、肌を潤った状態にする必要があります。潤った肌は強い肌です。強い肌はアレルギー物質を通過させません。こういう子どもは、食物アレルギーになりにくいのです。
もう一つのルートは、食べることです。アレルギー物質になり得る卵などを食べることで、腸の中の常在菌と食物が接触します。最初は少しだけアレルギー反応が起こるかもしれません。しかし、腸の力は腸内細菌の働きと相まって、「免疫寛容」という現象を引き起こします。
寛容とは“許す”という意味です。免疫反応が働かなくなって消えてしまうのです。免疫寛容は、赤ちゃんの月齢が低いほど成立しやすいという性質があります。
アレルギー物質は、肌からは入れてはいけません。しかし、腸を通して体に入れる必要があります。食べることで、食物アレルギーは未然に防げるのです。
検査にあまり意味はない
免疫グロブリンEを測定することには、あまり意味はありません。免疫グロブリンEの値が低くても、アナフィラキシーショックが起きることがあります。反対に、値が極めて高くても、実は食べてみても何ともないということがあります。参考にはなりますが、参考にしかなりません。採血の結果で治療方針が決まるということはありません。
では、お子さんに食物アレルギーがあるかどうか、どうやって診断すればいいのでしょうか? それは実際に食べてみることです。
ほんのちょっとの量から徐々に食べてください。卵だったら、固ゆで卵の黄身から始めます。一かけらから徐々に増やします。黄身がクリアできたら、次は白身です。やはり、一かけらから始めてください。そうすれば、アレルギーの有無が明確になるし、免疫寛容を誘導することにもなります。
ある食品を食べて顔が赤くなることが2回続いたら、それは間違いなく食物アレルギーです。診断はそれだけで十分です。
どの程度まで食べられるかを正確に評価するためには、負荷テストが必要になります。卵や小麦を何グラムまで食べられるかを、実際に試してみる(負荷を与える)検査です。ちょっと危険な検査ですよね。そこで、負荷テストは設備とスタッフの充実した総合病院の中の小児科で行われます。
小児外科医・作家 松永正訓
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April 04, 2020 at 04:15AM
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