食べることは生きること
私たちヒトは、この世に生を受けてから死ぬまでの間に、成長や活動のために必要なエネルギーや栄養素などを食事からとりつづけなくてはなりません。そして、生きるための栄養を口からとれなくなった時、その人に死がやってくるのです。ヒトが地球上に誕生して以来、「食べられないことイコール死」であったわけです。
しかし、最近では、口からではなく、点滴やチューブからでも栄養をとることができるようになりました。しかし、長い人類の歴史の中でこのようなことができるようになったのは、わずか40年ほどのことなのです。
「食べることは生きること」という言葉をよく耳にします。なぜならば、食べないことは死を意味することだからです。ただし、この「生きる」という言葉が、単に生物学的な生命を表しているだけではなく、その人の人生であったり、生活であったりするなどの意味を含んでいる言葉であることは、言うまでもありません。だからこそ、どんな状況になっても、食べることはその人間の尊厳を守り、その人を取り巻くすべての人の喜びにつながるのです。
「傾き」を考慮する
しかし、ヒトはいつかは食べることができなくなり、誰にでも死が訪れます。当初は、「歩けない」といった移動の能力に問題を生じます。そして、死ぬしばらく前に食べられなくなり、最後に息をひきとります。その自然な経過の中に「傾き」が存在するのです。今日より明日、今月より来月、今年より来年、この傾きのなかで、できることが少なくなってくるのです。すなわち、徐々に食べられなくなることは、ある意味、自然な流れであるということが理解できます。人生の最終段階において食べる支援をするときは、この「傾き」に対する考慮が必要となってきます。
工夫をするということ
形のある食事(普通の食事)は、刻んだ食事やどろどろにしたペースト食よりもおいしいことに異論はありません。…
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