さて、これまで挙げた「ハゲめし」以外にも、亜鉛不足を引き起こす原因が存在する。
例えば、ストレスをため込んでも、体内の亜鉛が不足する。ストレスをためると体内に酸化物質が産生されるが、酸化物質を外に排出する抗酸化物質の材料が亜鉛だからだ。心労が重なる→体の中の亜鉛が抗酸化物質に変わる→毛が抜ける、という流れである。白髪が増えるのもこのためだ。
たまったストレス発散には運動を。ただ、適度な運動はいいが、激しく汗をかく運動や過度な筋トレでも汗や尿中から亜鉛が排泄されるほか、亜鉛を消耗する。
「亜鉛は男性ホルモンと精子の材料でもあります。あくまで通説ですが、過度に性欲の強い人、1日に5回以上と射精回数が多い人は、体内の亜鉛が減少すると言われています」
つまり、仕事でため込んだストレスをハシゴ酒で晴らしながらタバコをスパスパ吸い、飲んだあとにはラーメン。ついでにビデオ鑑賞や風俗で張り切る‥‥というパターンを繰り返せば亜鉛を大量に消費し、脱毛一直線というわけなのだ。
足りなくなった亜鉛は、日々の食事で補っていくしかない。
亜鉛を多く含む食品はまず、青魚、貝、牡蠣、鰻。牛肉、豚肉、鶏肉の肉類や、ワカメ、昆布、海苔、ひじき、もずくといった海藻類にもある。さらには豆類、ナッツや木の実などの種実類に、チーズ、卵。亜鉛を含んだ食材はタンパク質も多く含有しているので、育毛に必要なミネラルと毛髪の素材を同時に摂ることができるのだ。
「当院では昔ながらの和食を勧めています。麺類、丼ものの一品物で済ませるのではなく、そこに一菜一汁加えるか、より多くの食材を摂れる定食のほうが望ましい。肉であれば鶏肉、特にムネ肉は脂肪分が少なくエネルギーになりやすい。必須アミノ酸をバランスよく摂らないと、タンパク質の摂取効率も下がります」
先に挙げた豆類には、とりわけ必須アミノ酸も多く含まれているが、
「特定の食品にこだわらず、肉や魚、豆、卵‥‥体に必要な必須アミノ酸をまんべんなく摂ることが重要です。摂取する必須アミノ酸が偏ると、栄養効率が下がるのです」
例えば、朝ごはんに納豆を足す。パン食なら目玉焼きやチーズを添える。出先での朝食には海苔を巻いたおにぎりとゆで卵を選ぶ(塩は控えめで)。昼食が丼ものなら、豆腐とワカメのみそ汁を。晩酌には枝豆や冷ややっこ、ミックスナッツ、刺身や焼き魚、鶏肉などをバランスよくオーダーしよう。
もちろん食事は育毛の土台ではあるが、それだけでは抜け毛を防ぎきれないのも悲しい事実なのだ。
「まずは自分の薄毛の原因が何であるかを知ること。血液検査をすれば亜鉛が足りているかどうかはわかりますし、急に進行する薄毛には病気が隠れている場合もあります。男性型脱毛でない方がAGA治療を希望したり、他に有効な治療法があるのに自己流の育毛を試みたり‥‥。これも自分に合わなければお金と時間のムダになってしまいます。まずは自分の薄毛の原因を知ることから始めてください」
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March 09, 2020 at 04:18PM
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