おはぎは、炊いたもち米を小豆あんで包んだ和菓子です。日本人にはおなじみの食べ物ですが、なぜ秋のお彼岸におはぎを食べるようになったのでしょうか。お彼岸とおはぎの関係、さらにはおすすめのおはぎレシピも紹介します。
お彼岸におはぎを食べる理由
秋のお彼岸には故人の好物や、地域によってはお寿司などをお供えします。しかし、ごく一般的なお彼岸のお供え物といえば、やはり『おはぎ』でしょう。
秋のお彼岸に、おはぎをお供えしたり食べたりするのはなぜなのでしょうか。
お彼岸とは
お彼岸は、春と秋の年2回ある仏教行事です。それぞれ春分の日・秋分の日を中日にした前後3日間、計7日ずつがお彼岸の期間とされます。
お彼岸という言葉は、仏教用語『到彼岸(とうひがん)』に由来します。これはサンスクリット語『パーラミター』の漢訳語で、この世である『此岸(しがん)』を離れて、あの世である『彼岸』への到達を目指すという意味です。
極楽浄土である彼岸には、煩悩を抱えたままでは到達できません。そのため、お彼岸には『六波羅蜜(ろくはらみつ)』という六つの修行を実践し、精進するのが望ましいとされています。
ただし、日本ではお墓参りに行き、先祖供養をするのが一般的な過ごし方です。
春と秋のお彼岸の違い
春と秋のお彼岸には、過ごし方などに明確な違いはありません。どちらのお彼岸でもお墓参りに行くのが習わしです。
仏教では、三途の川を挟んで西側に彼岸、東側に此岸があると考えられています。そのため、昔の人は太陽が真東からのぼり真西へと沈む春分・秋分の両日を『あの世とこの世が最も近づく日』と考えました。
そして、この特別な日に徳を積むことが極楽浄土への近道とされ、『お彼岸=先祖供養』という考えが広く根付いたのです。
ただし、お供え物には春、秋の違いがあります。春のお彼岸の定番は『ぼたもち』である一方、秋のお彼岸の定番は『おはぎ』です。
おはぎを食べる意味とは
秋のお彼岸に用意する食べ物としては、もち米を小豆あんで包んだ『おはぎ』がよく知られています。これはその昔、おはぎに使われる砂糖が高級食材であったことや、小豆には魔除け効果があると考えられていたことなどが理由です。
昔の人にとって、砂糖はめったに食べられない高級品でした。砂糖をたっぷりと使ったおはぎは、お彼岸という特別な日にふさわしいごちそうと考えられたのです。
一方、小豆には、その赤い色で邪気を払う効果があるとされます。こちらもお彼岸にふさわしい食材といえるのです。
おはぎとぼたもちの違い
秋のお彼岸ではおなじみのおはぎですが、時に『ぼたもち』とよばれることもあります。見た目はほぼ同じですが、両者の違いは何なのでしょうか。
それぞれの呼び名の由来
おはぎとぼたもちを漢字で書くと、それぞれ『お萩』『牡丹餅』となります。字を見てわかるとおり、おはぎは『萩の花』、ぼたもちは『牡丹の花』がその由来です。
お彼岸で定番のお供え物である小豆のお餅は、それぞれの季節の花になぞらえて呼ばれました。そのため、春のお彼岸はぼたもち、秋のお彼岸はおはぎ、と呼び名が変わるようになったのです。
ただし近年は、季節によって呼び名を変えることも少なくなってきました。和菓子を扱うお店などでは、一年を通して『おはぎ』とするところも珍しくありません。
粒あんとこしあんの理由
おはぎには粒あん、ぼたもちにはこしあんを使うのが一般的です。同じものでも使うあんが異なるのは、小豆の収穫時期に関係があります。
小豆は、4~6月頃に種をまき、9~11月頃に収穫します。秋のお彼岸は毎年9月23日頃ですから、おはぎ作りに使うのは、収穫したばかりの柔らかい小豆です。皮までおいしく食べられるため、秋のお彼岸にはつぶあんのおはぎが一般的となりました。
一方、春のお彼岸は、保存した小豆を使います。収穫から時間がたっているため皮が固く、そのまま食べるには適しません。そのため、春のお彼岸では小豆の皮を取り除き、こしあんにして使うようになったのです。
おはぎはいつ、何回食べるべき?
お彼岸の期間は計7日間あります。中日にあたる秋分の日に、おはぎを食べるのが基本です。前述のとおり、太陽が真東からのぼり真西に沈む秋分は、あの世とこの世が近づく特別な日とされているためです。回数については1回だけで十分なので、食べられるぶんだけ用意しましょう。
ただし、秋分の日にどうしても食べられないときは、別の日にずらしても構いません。
自宅で簡単 おはぎの作り方
材料さえそろえれば、自宅でもおはぎを作ることができます。お彼岸を迎える前に材料を準備して、おいしいおはぎをお供えしましょう。
手間なく簡単にできるよう、既成のつぶあんを使用したレシピを紹介します。
おはぎの材料
おはぎを作る前に、以下の材料をそろえましょう。これでおはぎ10個分です。
- もち米:1合
- うるち米(白米):0.5合
- 水: 300cc
- 食塩:3g
- つぶあん:400g
味を変えて楽しみたい人は、きなこや黒ごまなど用意するのもおすすめです。
作る手順はこれだけ
おはぎを作る手順は、基本的には『中のごはんを作る』『外側をあんで包む』という2ステップのみです。
- もち米とうるち米(白米)を合わせ、丁寧に研ぐ
- 1に水と食塩を加えて一晩置く
- 白米と同様に炊飯器で炊飯する
- 炊けたご飯をすり潰す
- 10等分に分ける
- 粒あんを40gずつ計り、10等分する
- 丸めたご飯をあんで包んでいく
米に水を吸わせる作業に時間がかかりますが、特に難しい手順などはありません。
注意点としては、お米を潰しすぎないことです。潰しすぎるとお餅になってしまうので、お米の形が半分くらい残る状態で止めましょう。
構成/編集部
"食べる" - Google ニュース
March 18, 2020 at 08:54AM
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お彼岸になるとおはぎを食べるのはなぜ? - @DIME
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