Saturday, February 10, 2024

ビッグサイズのホットドッグ 味わいながらゆっくり食べる 米国6600キロ第19回 - テレビ朝日

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 創業から約90年。地元住民に愛され続ける老舗食堂でホットドッグを食べる。店員お薦めの西部開拓の町は、映画さながらに砂ぼこりが舞っていた。

(テレビ朝日 デジタル解説委員 名村晃一)

 ニューヨークからロサンゼルスまで、途中いくつもの町に立ち寄りながら6600キロを走破して見えた米国のいま。毎週土曜日と日曜日に配信しています。

紫タマネギと薬味をたっぷりのせるとフレッシュな味に

付け合わせはフライドポテトではなく果物にした=筆者撮影

紫タマネギと薬味を乗せるとこんな感じになる=筆者撮影

 旅11日目の10月14日午後3時過ぎ、アリゾナ州ベンソンでホットドッグにかじりついた。長さ約30センチのビッグサイズだ。ケチャップとマスタードだけでなく、紫タマネギのみじん切りと薬味をたっぷりと乗せた。

 ホットドッグは数えきれないほど食べてきたが、一口かんでフレッシュな感じがしたホットドッグは初めてだった。バーガーやサンドイッチのように、いくつかの食材をパンにはさんで一気に口の中に放り込むのが米国の食の典型だが、素材の味を大事にする日本人からすると、味がマンネリ化してしまうことが玉にきずだ。しかし、この店のホットドッグは重層的でありながら、ごちゃまぜにはなっていなかった。脂っこくない、さっぱりとした味わいだった。

 パンだけをかじったり、ソーセージだけを口に入れたりと、ひとつひとつの材料を楽しみながら、時間をかけて食べた。「ファストフード」ではないホットドッグだ。

創業から90年近く 地元に愛され続ける駅前食堂

店のオープンは1936年だが、2階建てビルは1914年に建設された。当時は郵便局が入居し、バスの待合所としても利用されていた=筆者撮影。

ケーキも手作り。写真はレモンケーキ=筆者撮影

 店の名前はホースシュー・カフェ。ハンバーガーやステーキなどが自慢のダイナー(食堂)だ。旅客鉄道アムトラックの長距離列車「テキサス・イーグル(ロサンゼルス〜シカゴ)」と「サンセット・リミテッド(ロサンゼルス〜ニューオーリンズ)」が停車するベンソン駅の前にある。まさに「駅前食堂」だ。

 ただ、駅とは言っても「ターミナル」と言うにはほど遠い。「テキサス・イーグル」も「サンセット・リミテッド」も、共に1週間に3本しか走っていない。ベンソンの人口は約5000人。駅前は人が行き交う場所ではあるが、のどかな西部の片田舎である。

 ホースシュー・カフェは1936年に開業した。これまで何度かオーナーは変わったが、店の味やサービスは受け継がれ、90年近く地元住民に愛され続けている。

 2023年7月に新しいオーナーになったばかりで、その際には、地元メディアがニュースとして大きく取り上げた。

「ロデオ大会だからみんな気もそぞろ」 いつもより空いた店内

年代物のジュークボックス。ほとんどのテーブルにある=筆者撮影

 訪れたのは土曜日だった。夕方前だったので空いている時間帯ではあったが、通常の土曜日よりは客が少ないようだった。

 「今日はこれから町のロデオ大会があるの。みんなロデオのことばかり考えて、気もそぞろなのよ」

 女性店員が説明してくれた。ロデオが日常の楽しみになっているとは、さすが西部である。

 その女性店員が、近くに西部開拓時代の町並みが残っているところがあるから見ていったらどうだ、と薦めてくれた。トゥームストンという町は車で30分程度の距離だという。近いので立ち寄ることにした。

 ホースシュー・カフェのことを教えてくれたのは、エルパソのカウボーイブーツ製造所の女性だった。地元の人々との雑談は最高の水先案内だ。

舗装されてないメインストリート 開拓時代そのままに

映画「荒野の決闘」や「OK牧場の決闘」はトゥームストンが舞台だ=筆者撮影

観光馬車が通ると砂ぼこりが舞い上がる=筆者撮影

ガンファイトの町では子供向けの銃のおもちゃが土産物に=筆者撮影

西部開拓時代の服装の人たちも=筆者撮影

 アリゾナ州道80を南東に走るとトゥームストンの町があった。町のメインストリートは舗装されていない。西部開拓時代の建物や町の姿が最もよく保存されているとして、国の歴史的建造物地区に指定されている。

 銀の鉱脈が発見され、1880年代に一攫千金(いっかくせんきん)を狙う開拓者たちが集まった。町は急速に発展したが、ならず者や荒くれ者たちも多く、抗争が日常茶飯事となった。西部劇映画の名作「荒野の決闘」(1946年)と「OK牧場の決闘」(1957年)はこの町で起きた銃撃戦を題材にした。

 この地での銀の採掘は、坑内の浸水や火災、銀価格の下落、作業員のストライキなどが原因で1911年に幕を閉じた。繁栄はつかの間だったが、その後は観光地としての道を歩んだ。

 観光用の馬車が走ると、猛烈な砂ぼこりが舞い上がる。砂漠地帯で風も強く、町全体がかすんで見えた。開拓は砂との戦いでもあったのだとしみじみ感じ、トゥームストンを後にしたが、この砂ぼこりがその後の運転に支障をきたした。

砂ぼこりで汚れたフロントガラス ふいても消えず慌てる

撥水コーティング剤の使用方法を間違え、フロントガラスの汚れがこびりついてしまった=筆者撮影

 この日の宿泊地は、アリゾナ州第2の都市のツーソンだ。トゥームストンからは順調に行けば車で1時間半ぐらいだ。気軽にハンドルを握ったが、トゥームストンの砂ぼこりがフロントガラスに付着して汚れ、視界が悪くなっていた。日が傾き光の加減が昼間と変わり、フロントガラスの汚ればかりが目に入って来る。このままでは危険だったので、道路脇のキャンプ場に車を止めてフロントガラスをふこうとした。

 ここでミスをした。フロントガラスの汚れを取り除く前に、ルイジアナ州のスーパーで購入した撥水コーティング剤の「Rain-X」を吹きつけてしまった。しかも、吹きつけた後、しばらく時間をおいてしまった。

 ふき取った後、フロントガラスには水玉模様の白っぽい汚れが残ってしまった。手持ちの布でふいても取り除けない。ウォッシャー液を出してワイパーを動かしても消えない。

 撥水コーティング剤を洗浄液として使用したのが間違いだった。汚れがシミとなってこびりついてしまったのだ。

 ツーソンまで、さほど遠くはないとはいうものの、夜はそこまで来ている。仕方なく、この状態で走った。再びインターステート10(I-10)に乗ってツーソンに向かう。

 日が沈むと汚れはさらに目立つようになった。この状態で高速道路を走行し続けるのは無理だった。

 I-10を降りて、ガソリンスタンドで専用のモップを使ってフロントガラスを何度もふいた。ようやくシミが取れた。必死の形相でフロントガラスをふく動作が滑稽だったのか、近くで給油していた高級スポーツカーのカップルに笑われた。

 恥ずかしかったが安全のためなら笑われたってかまわない。腹を立てずに安全運転に徹し、ようやくツーソンにたどりついた。

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