Sunday, June 2, 2024

パン祭りならぬパン地獄…医師が警鐘「パンを食べると脳の神経伝達物質を阻害、記憶曖昧・情緒不安定化」 パンと牛乳の摂取を2週間やめると、多くが集中力アップし肌の調子も向上 (3ページ目) - PRESIDENT Online

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不調の原因は「隠れアレルギー」かも

日本人よりも多くの小麦を食べている欧米では、昔からセリアック病が問題になってきました。セリアック病は、グルテンに対する免疫反応によって腹痛や下痢などを起こす、自己免疫疾患です。米国には約130人に1人の割合で患者がいるといわれています。セリアック病にかかると、生涯にわたってグルテンフリーを続けなければ必要な栄養が吸収できなくなってしまいます。

日本ではセリアック病にかかる人は稀でしたが、最近は徐々に増えています。小麦の摂取量が増えてきたため、対応できない人が目立ってきたと考えられます。品種改良が進んだ最近の小麦は、古代の小麦よりもグルテンの含有量が多いという報告もあります。

また、セリアック病ではなくても、グルテンに反応してしまう人も増えています。「グルテン過敏症」あるいは「グルテン不耐性」と呼ばれています。グルテンによって何らかの体の不調が現れるアレルギーです。

アレルギーとは、毒性がないものを体が異物と認識して、過剰反応してしまう状態です。異物が入ってくると、体は免疫グロブリン(Ig)をつくります。Ig は異物(抗原)に結びついて、破壊します。また、Igは免疫細胞(マスト細胞)と結びついて、次に同じ異物が入ってきたときに備えます。この免疫システムが正常に機能しているときは問題ないのですが、異物ではないものに過剰に反応して、さまざまな症状を引き起こすのがアレルギーです。

アレルギーにはIgのタイプによって3つの種類があります。1つ目は、IgEアレルギーです。そばやエビ、カニなど、原因となる物質を摂取したり、吸い込んだりしたときに現れるアレルギーです。すぐに反応が出るので「即時性アレルギー」ともいいます。

2つ目はIgGアレルギーです。このタイプは、原因物質を摂取してもすぐにアレルギー反応が出ません。反応が出るのが遅いので「遅延型アレルギー」とも呼ばれます。グルテンやカゼインで起こるアレルギーはこのタイプです。IgGアレルギーは専門機関の血液検査で調べることができますが、IgG抗体検査は健康保険の対象にもなっていませんし、気軽に受けるにしては高額です。そこで、よっぽど困った症状があるわけでなければ、まずはグルテンとカゼインを2週間抜いてみるのがいいのです。

3つ目はIgAアレルギーです。IgEやIgGが血液中に入ってきた異物から体を守るのに対し、IgAは血液に入る前、「粘膜」の段階で働きます。目や鼻、口、食道、胃、腸などの粘膜は、異物の入り口になる場所です。粘膜から異物が入ってくると、粘膜から分泌された粘液で排出します。咳(痰)や下痢がそれです。ところが粘膜が弱っていると、抗原が血液中に入ってしまいます。血液検査をして特定の食材にIgA抗体があるときは、腸管やその他の粘膜が弱くなっている可能性があります。

腸の粘膜とアレルギー、とくに小麦と乳製品のアレルギーは深くかかわっています。粘膜が弱ってIgA抗体の分泌が少なくなると、IgGアレルギーを発症しやすくなってしまうのです。

グルテンをとると太りやすくなる理由

前述のAくんの場合も、遅延型アレルギーの血液検査(IgG抗体検査)をしてみると、値の高い食べ物がたくさん出てきました。特に小麦や全粒小麦のグルテンに加え、チーズ、ヨーグルトなどカゼインが含まれる食品の値が突出していました。

グルテンやカゼインにアレルギーがあれば、含まれている食品を食べない生活が有効ですが、アレルギーの“ある”“なし”にかかわらず、グルテンを摂取することで不調が起こることもわかっています。大きな理由は、前述のようにグルテンが腸の粘膜を荒らすからです。

腸が炎症を起こすと、免疫機能が下がり、感染の機会も増えてしまいます。そこで起こってくるのが、腸の粘膜にカンジダがつきやすくなるという問題です。カンジダはカビの一種ですが、常在菌なので健康な人の体内にも存在します。しかし、腸につくカンジダは、腸内環境が悪化して免疫力が低下すると一気に増殖して、便秘や下痢を引き起こします。

さらに、腸の状態が良くないと、太りやすくなります。まさに悪いことずくめです。炎症の原因となる物質が粘膜を通ってどんどん血液の中に入っていくと、その血液が送られる先の肝臓にも炎症が起きます。肝臓が炎症を起こすとインスリンの効き具合が下がり、血糖値が上がりやすくなるので、インスリンが大量に分泌されるようになります。すると、中性脂肪をどんどんため込んで細胞が肥大化します。筋肉でも同じようなことが起こり、肥満につながるのです。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年6月14日号)の一部を再編集したものです。

(構成=向山 勇)

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