お腹が空いているとき、周りの人が話している「推し活」の言葉が、「推しカツ」に変換されて聞こえた。
カリカリに揚げられた、熱々ジューシーな「推し」が脳裏に浮かび、その姿が忘れられないので、晩ごはんに作ることにした。
推し作り
「推し」にどれくらいのお肉が必要なのか分からなかったので、とりあえず2パック買ってきた。
パーツをいくつか組み合わせなければいけないと思っていたが、一枚のお肉でつくれた。なかなかいい感じだ。
いや、でもここまではうまく出来ると予想していた。肝心なのは右側の「隹」である。
作っていると「推し」の形が分からなくなるのでふせんで貼った。見ながら作っても分からなくてちょっと不安になる。お肉で文字をつくると一瞬でゲシュタルト崩壊するということがわかった。
そもそもこんな漢字あったっけ?と、気づけば「推し」の存在を疑い始めた。
「隹」の中を抜くのが難しかったが、ハサミと包丁を交互に使いくり抜いた。
推しを揚げる
ついに油で揚げるときが来た。ここまで来たからには、成功してほしい……!急にドキドキしてきた。好きなアイドルが、初めてミュージックステーションに出る時もこんな気持ちなのだろうか。
推しカツ定食
「隹」の穴が埋まってしまい、なんだかよく分からない感じになっているが、「てへん」と「し」のおかげで「推し」と読める。チームワークでステージ(皿)を作っている!
超肉厚!!揚げたてのカツってこんなにおいしいんだな……!!
人生で初めてカツをつくったけど、想像以上に上手く出来たことに感動した。
でも全部食べきれなかったので「し」は翌日のお弁当につめた。
やってみて分かったことは、推しカツはお肉3枚でつくれるということだ。
あまったお肉も全部揚げたので、このあとしばらくカツ丼を食べ続けた。ゲン担ぎにカツを食べるというのをよく聞くが、1日単位ではなく、週の単位でゲン担ぎすることとなった。
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