※2 「日本食品科学工学会 第69回大会」 https://confit.atlas.jp/guide/event/jsfst69/static/summary
「サラダファースト」を実証。炭水化物より野菜サラダを先に食べると、血糖値の急激な上昇が抑えられることを再確認。
「市販のごはん」150g、「市販の野菜サラダ」(千切りキャベツをベースとしたサラダ)175g、「野菜サラダの搾り汁」220g(市販の野菜サラダ175gをミキサーで粉砕してから濾過し、水を加えて220gに調整したもの)を用意※3し、健常男性13名を対象に単回摂取クロスオーバー試験を行いました。被験者(前日に一晩絶食)を3つのグループに分け、7日間のウォッシュアウト期間を挟み、①ごはん→野菜サラダ、②野菜サラダ→ごはん、③野菜サラダの搾り汁→ごはんの3種類の食事を、それぞれパターンを変えて、①②③すべて摂取しました(図1参照)。
※3 野菜サラダ、搾り汁にはそれぞれ、摂取前にキユーピー業務用の焙煎胡麻ドレッシング30gを添加した。
摂取開始時を0分として、摂取30、45、60、90、120分後に採血を行い、血糖値、血清インスリン、血清トリグリセリドの濃度をそれぞれ測定しました。その結果、②野菜サラダ→ごはんの順に食べた群が、①ごはん→野菜サラダの群と比較して45分後に血糖値が有意に低い値を示しました。つまり、②野菜サラダ→ごはん、の順で摂取すると食後の急激な血糖値の上昇を抑えられることが確認できました(グラフ1参照)。なお、血清インスリン濃度・血清トリグリセリド濃度については、3種類の食事間に有意差は認められませんでした。
「野菜サラダの搾り汁」では有意差なし。血糖値上昇の抑制が弱まる要因とは?“食物繊維”と“噛む”がポイント。
一方で、③野菜サラダの搾り汁→ごはんの群では、①ごはん→野菜サラダの群と比較して有意差が認められず、血糖値上昇の抑制効果が弱まることが分かりました(グラフ1参照)。
「野菜サラダ」と「野菜サラダの搾り汁」の相違点は、大きく2つあります。1つは、食物繊維の量です。野菜サラダの食物繊維含量が2.0g/100gであるの対して、野菜サラダの搾り汁では0.2g/100gと、90%の食物繊維が取り除かれていました。食物繊維は胃での滞留時間が長いことが報告※4されているため、食物繊維を多く含む野菜サラダを先に摂取することで、後に摂取した炭水化物の吸収を遅らせたと考えられます。
もう1つの相違点は「噛む」か「噛まない」かの違いです。噛む回数が増えると唾液の分泌が増えて、食物繊維と唾液が混ざることでゲル化し粘度が高くなります。胃内容物の粘度が高いと糖質の吸収が遅くなることが報告※5-8されており、野菜サラダを「噛む」ことによって引き起こされた物理的な変化が、糖質の吸収速度に影響を与えたと考えられます。
以上のことから、「野菜サラダの搾り汁」よりも、食物繊維を多く含む「野菜サラダ」を噛んで先に食べることで、急激な血糖値上昇を抑えられることが示されました。
※4 Yu K. et al. Asia Pac J Clin Nutr. 2014, 23: 210-218.
※5 Seto Y. et al. J Cook Sci Jpn, 2014, 47: 90-96.
※6 Kowata H et al. J Jpn Soc Nutr Food Sci, 1987, 40: 299-305.
※7 Kay RM. J Lipid Res. 1982, 23: 221-242.
※8 Jenkins DJ. Br Med J. 1978, 1:1392-1394.
キユーピーグループは、2030年にどうありたいかをまとめた「キユーピーグループ2030ビジョン」を策定しています。その一つに、「サラダとタマゴのリーディングカンパニー」を掲げ、健康的な食文化の創造に貢献していくことを明文化しています。今後も、さまざまな研究を通じて、人々の健康的な食生活の実現につなげていきます。
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