今年も残りわずか。信州では年末に魚を食べる「年取り魚」の習慣が残っていますが、地域によって食べるのはサケとブリに分かれているようです。本紙県版の公式ライン「ユースク信州」に、松本市の美容室経営、有江晶さん(46)から「サケとブリの境界は、どの辺りなの?」との質問が寄せられ、本紙県版キャラクター「おしえてほっしー」が「おやっきー博士」に聞きました。 (寺岡葵、城石愛麻、竹内なぎ)
Q 年取り魚って何? 教えて、教えて!
A 大みそかの夜に食べる魚で全国各地にその習慣が残っているけど、食べるのはサケかブリが多いんだ。「栄える」という言葉を連想させるサケ、出世魚のブリは縁起がいいとされているんだ。飯田下伊那地域や佐久地域ではコイを使ったみそ汁やうま煮を食べる習慣があり、松本市ではマダイも食べるぞ。
Q 長野県には海がないけど、どうやって手に入れたの?
A 昔は千曲川や犀川でサケが捕れたんだよ。江戸時代には、ブリは日本海の富山湾から岐阜県の飛騨地方を通って松本へ持ち込まれ、飯田などに運ばれた。新潟県の糸魚川からのルートもあったそうだ。
Q サケとブリの境目はどこなの?
A 松本市立博物館学芸員の窪田雅之さんや県史によると、新潟県と静岡県を結ぶ活断層帯の糸魚川−静岡構造線を境に、東がサケ、西がブリとされている。その理由はよく分かっていないらしい。構造線が通る長野県は、大まかに東北信がサケ、中南信がブリと分かれているぞ。でも、就職や結婚などで人が行き来したことで食文化の境界があいまいになっていき、はっきりした境目は分からないんだ。ブリの食文化が強いとされる地域でもブリの方が高価なため、サケを食べる家もあったそうだ。
Q 学校給食でも分かれているのかな?
A 給食の「お年取り献立」もさまざまだ。ブリが出される年もあるし、サケが出される年もある。サケが多いとされる東北信でも佐久市や須坂市、栄村の小中学校では今年はブリが出された。佐久市の給食センターの栄養士さんは「サケは一年中食べられるので、あえて高価なブリを選んだ」と話していた。一方で飯田市ではブリ、長野市ではサケが給食に出されたぞ。
Q 糸魚川−静岡構造線に近い地域はどっちのお魚を食べているの?
A 小谷村の小中学校では年末にサケとブリを二回に分けて出した。大町市の美麻小中学校では十二月にブリを出し、来年一月には信州サーモンを出すようだ。岡谷市の学校は大半がブリだけど、サケを出す学校もある。栄養士さんたちは「県内の食文化の違いを知り、関心を持ってほしい」と願っているぞ。
Q ほっしーは大みそかはすき焼きを食べるよ。
A おやおや、若い世代は年取り魚を食べない、知らないという人も多い。松本市立博物館の窪田さんは「生活様式の多様化で、年取り魚が重要視されなくなってきた」と話していたぞ。今年はコロナ禍で年末に帰省できずに県外の家で過ごす若い人も多いだろうから、せめて年取り魚を食べて故郷を思い出してもらえればいいな。
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