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【3月30日 AFP】ドレッドヘアに鼻ピアスという姿からは、シャナ・ライス(Shanna Reis)さん(28)が迷彩服を着て森で獲物を追うようなハンターだとは思えない。 新型コロナウイルス禍で家庭内調理が復権している中、自分の食べる肉をどこから手に入れるかにこだわる、新世代の狩猟愛好家たちがドイツに出現している。ライスさんはその一人だ。 ワイン製造者の彼女は10年ほど菜食を実践していたが、5年前に狩猟免許を取得し、再び肉を食べるようになった。ただし、このごろ口にするのは捕ったばかりの獲物だけ。できれば自分で仕留め、さばいたものが良い。 「自分が食べる肉の経路を知っていることが大切」とライスさんは言った。ライフルを肩にかけ、ドイツ西部のライン川(River Rhine)に近い地元の村、アスピスハイム(Aspisheim)の周辺を歩く。 肉が食事の中心を占めるドイツで、狩猟免許の人気が高まっている。ドイツ全国狩猟家連盟(JAGD)によると、2020年末の狩猟人口は39万人で、30年前から25%増加している。隣国フランスは2019年時点で推定約100万人いるものの、過去40年間で半減しているのとは対照的だ。 昨年、ドイツでは1万9000人が狩猟免許を申請し、5人に4人が取得した。JAGDの広報担当者は、10年前の倍の数だとAFPに語った。 ■大量生産の肉は「食べたくない」 欧州最大の経済大国ドイツは、欧州連合(EU)で最大の豚肉消費国でもある。同国の食肉解体産業は年間5500万頭以上の豚と350万頭以上の牛を処理している。 ところが、ドイツの食肉処理場で新型コロナの集団感染が相次ぎ、食肉大量生産のイメージは大打撃を受けた。さらに下請け業者の作業員らが置かれた劣悪な労働条件に報道が集中した。多くは東欧からの労働者で、安売り肉を供給するために不安定な契約と低賃金で汗水を流している。 「みんな言っています。そういう肉は食べたくないねと」。そう語ったニコル・ローミッヒNicole Romig)さん(47)は、フランクフルト(Frankfurt)近郊で高校教師をしている。彼女も最近、狩猟を始めた。知り合いの肉屋に手伝ってもらい、自分が仕留めた獲物でグリル焼きステーキから、ソーセージ、レバーパテまで幅広い肉料理を作る。 別の狩猟愛好家ウルフ・グレザー(Ulf Grether)さん(55)は手製のイノシシソーセージが自慢。大好評で「作る前に」売り切れてしまうと言う。 ■節度ある狩猟 狩猟の初心者は「森林や野原と動物との関係を理解しようとする」と言うのは、ドイツ北西部ニーダーザクセン(Lower Saxony)州でハンティングスクールを主宰しているアレクサンダー・ポルファース(Alexander Polfers)さんだ。同校は年間600枚の免許を発行する。 ライスさんは、ソーシャルメディアを通じて狩猟者は残酷だというイメージを払拭したいと言う。「大事なのは、ビオトープ(生態環境)を保護し、農民と話し合い、森の経済を守ることです」。彼女のインスタグラム(Instagram)のアカウントは2万人以上にフォローされている。 熱烈なハンターとして知られる兄弟、パウル・ライルマン(Paul Reilmann)さん(25)とゲロルト・ライルマン(Gerold Reilmann)さん(22)は、フェイスブック(Facebook)に3万人を超えるフォロワーがいる。しかし、ライルマン兄弟が獲物と撮った写真は、動物福祉のための活動が活発なドイツでは反発も呼ぶ。 動物愛護NGO「アニマルライツワッチ(Animal Rights Watch)」の広報担当者サンドラ・フランツ(Sandra Franz)氏は「狩猟家に合理的な言い分があるとすれば、獲物を殺し、戦利品として陳列するという欲望です」と語る。 一方、狩猟家は、林業従事者や農民が賛同している野生動物の生息地に関する規則に従わねばならない。これら関係者は、シカが若木の新芽を食べたり、イノシシの群れがトウモロコシ畑を荒らしたりするのを防ぐための大掛かりな駆除を支持する場合が多い。 「森林警備隊員とは常に争っている」と狩猟家のグレザーさん。「ハンターは、動物の生息数が多いとうれしいものです」 映像はライスさん、1月と2月に取材したもの。(c)AFPBB News
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