大栄翔が栄光のゴールへ向けてグイッと抜け出した。玉鷲に頭から激しくぶつかり、押し勝ってからのはたき込み。徳俵に左足だけで踏みとどまったが「残したかなと思った。しっかり前に出られてるんで」。確かな手応えが自信を物語っていた。
千秋楽を前にして再び平幕で単独トップ。これは15日制定着の1949年5月場所以降で、昨年7月場所の照ノ富士以来22人目。過去21人のうち20人がそのまま賜杯を手にしている。ここまできたらもう、埼玉県初、追手風部屋初の賜杯を逃すわけにはいかない。
93年初場所。師匠の追手風親方(元幕内大翔山)は、平幕で13日目までトップを守っていたが14日目に後退。千秋楽までともえ戦の可能性を残していたが、かなわなかった。
「部屋を興したときは1人でも関取を出すのが目標。その次は幕内に上げる。1人でも三役を出す。その次は2人でも3人でも関取に上げることです。次が優勝。でも優勝は目標じゃなくて夢ですよ。現実的ではないですよ」と話していた師匠だが、現役時代から追いかけてきた夢が現実ものになろうとしている。
大栄翔の地元・朝霞市では早くも優勝セールを開催する方向で盛り上がっている。その地元からは歌手の本田美奈子、ロンドン五輪に出場した女子短距離の土井杏南、お笑いの四千頭身・後藤拓実など、多彩な分野で活躍している。実はこの3人とも大栄翔と同じ朝霞第一中学校の同窓生なのだが、賜杯を抱けばその中でも一躍輝く存在となる。
勝てば優勝。負けても優勝もしくは決定戦がある。「何番取ろうが自分の相撲を取るという気持ちです。ほんとに後半も後半ですし、ここで硬くなっても仕方ないと言い聞かせて。いい相撲を取って自分の相撲を取り切れれば」。相撲の取り口はその人の性格を表すと言われている。緊張しない方がおかしな状況に置かれても、大栄翔は一点の迷いもない目でゴールへと突き進む。
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