2019年4月6日から6月29日までテレビ東京系「ドラマ24」で放送されていたドラマ『きのう何食べた?』。見逃し配信では全話100万再生数越えの人気作品が『きのう何食べた?正月スペシャル2020』として1月1日に放送された。
テーマは「誰のために時間とお金を使いたいか」。
3章立てのエピソードで描かれた物語は、どれも大切な人のために使う時間とお金の価値について描かれていた。登場人物たちが発する優しい言葉が、その価値について気づかせてくれる。
第1章では、筧史朗(通称・シロさん/西島秀俊)が親の老後資金に悩む姿が描かれた。シロさんは久栄(梶芽衣子)から悟朗(田山涼成)の通院費を工面してほしいとお願いされた。20年前、シロさんが同性愛者だと受け入れられなかった久栄は、水や壺などにハマってお金を使いこんでしまった。シロさんはそれを自分のせいだと思っている。そんな彼の心を軽くしたのは、中村屋で会った佳代子(田中美佐子)の何気ない言葉だった。
「筧さんが今、こんなに立派になったのは、もしかしたらその壺のおかげかもしれないじゃない?」
過去を否定するのではなく、今を見つめる佳代子の軽やかな言葉で、シロさんの肩の力がフッと抜けた。シロさんと佳代子の関係はスーパーの食材を分け合ったり料理をしたりする仲なのだが、この仕事仲間でも家族でもない佳代子の存在は、シロさんに見えていなかった家族の一面を教えてくれる。
シロさんの誕生日にどんこを送った久栄。喜ぶシロさんとは対照的に、久栄は「史朗ちゃんの好み、お母さん、よくわからないから」と申し訳なさそうだった。久栄はシロさんの全てを受け入れられているわけではない。心苦しそうな久栄の姿から、シロさんを理解したいが受け入れきれていない現状が伝わってくる。そんな母に、シロさんは優しく言葉を返した。
「今すごくよくわかってくれてるじゃない」
この一言で、過去や受け入れられないものが解消されるわけではない。けれど、この後の二人が見せたホッとした表情は、母が息子を、息子が母を、大切に思う気持ちに満ち溢れていた。
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January 02, 2020 at 10:44AM
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