Monday, May 6, 2024

柏餅はなぜ葉っぱで包まれてる?柏じゃない葉っぱも使われていた - 読売新聞オンライン

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5月5日は「こどもの日」。日本では古来この日を「端午の節句」と呼び、男の子の健やかな成長と立身出世を祈願し、 (こい) のぼりや (かぶと) を飾ったり、 (かしわ) 餅を食べたりするのが江戸時代からの習わしです。この柏餅、桜餅と並ぶ歳時の代表的な和菓子ですが、「なぜ端午の節句に食べる?」「葉っぱは食べられる?」など素朴な疑問が――。柏餅を求めて和菓子の老舗を訪ねつつ、ナゾを解き明かしてみました。

東京・伊勢丹新宿店の本館地下1階にある和菓子コーナーに足を運ぶと、ずらりと並んだ柏餅が目に飛び込んできました。9店舗で販売され、どの店もお客さんでにぎわっています。

比べてみると、店によって大きさも形もさまざまで、あんの種類も異なります。

1948年(昭和23年)に東京・銀座で創業した「銀座あけぼの」では、真っ白な餅の「こしあん」(1個270円=税込み)、餅によもぎを練り込んだ「つぶあん」(同)、淡い黄色の餅の「みそあん」(同)の3種類が販売されています。

店員によると、真っ先に完売するのは「みそあん」。北海道産の 大手亡豆(おおてぼうまめ) が原料の白あんに、京都の老舗みそ専門店の白みそを合わせています。もっちりとした食感と、あんの甘じょっぱさが人気の秘密のよう。贈答用に購入する人も多く、同店では5月中旬まで柏餅を購入できるそうです。

柏餅はなぜ、端午の節句に食べられるようになったのでしょう。一説によると、餅を包んでいる柏の葉が兜の形に似ていることから、男児のお祝いにふさわしいとされたと伝わっています。また、柏の木は新芽が育つまで古い葉が落ちないという特徴があるため、「子が育つまで親は死なない」「家が絶えない」など縁起が良いとされ、子孫繁栄の象徴となった、とも。さらには、餅であんを包む手つきが柏手を打つ動作に似ていて「めでたい」とされた――など諸説あります。

縁起物の葉っぱですが、食用として塩漬けされた桜餅の葉っぱと比べると、かなり硬くてゴワゴワしています。全国和菓子協会(東京)によると、桜餅の葉っぱを食べるか、食べないかは「お好み次第」ですが、「柏餅の葉は食用ではなく、食べることは推奨されていません」。あえて食べても害はありませんが、餅やあんの食感を損なう恐れも。香りを楽しむだけにとどめた方がよさそうです。

では、なぜ葉っぱで包むのか。これには、いくつか理由があります。同協会から、「葉っぱは食器の代用品として使われていた」との情報が。調べてみると、保存容器が乏しかった古代、食べ物を植物の葉で包み、その葉を「 炊葉(かしぎば) 」と呼んでいました。そして、「かしぎば」が転じて「かしわ」に……。柏の葉はすがすがしい香りがし、殺菌作用もあるので、餅が乾燥しないように包むのに打ってつけというわけです。

さて、ナゾ解きの最後には驚きが待っていました。柏餅は当然、柏の葉で包むものと思いきや、実は全く別の植物の葉が使われる地域もある、というのです。

柏の葉で包むのは、関東地方を始め中部地方より北の地域。西日本では、柏ではなく「サルトリイバラ」という植物の葉で餅を包むのが一般的です。また、地域によってはコナラやミョウガの葉を使用するケースもあり、柏の葉の形に切り抜いた「型抜き」の葉も使われているとか。

柏餅は江戸時代に参勤交代を通じて全国に広まりましたが、当時の西日本には柏の木が自生していませんでした。そのため、代わりにサルトリイバラなど在来の植物の葉が使われたと考えられます。現在は、韓国や中国から輸入した柏の葉も使用され、ワールドワイドな和菓子になった感があります。

身近なようでありながらナゾが多く、古代から江戸時代へと続く歴史を秘めた柏餅。今年は、古の人々に思いをはせながら味わってみてはいかがでしょうか。

(読売新聞メディア局 後藤裕子)

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