2023年の冬至は、12月22日(金)です。冬至とは、一年のうちで太陽の出ている時間がもっとも短く、夜が長い日です。「冬に至る」の文字通り、暦の上では寒さが本格化する季節がやってきます。日本では「冬至にカボチャを食べると風邪をひかない」といわれ、冬至の日の食卓にカボチャの煮物が並ぶ家庭もあるでしょう。カボチャの栄養メリットなどを、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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野菜が少なくなる昔の冬の時期、貴重な存在だったカボチャ
現在、日本で主に栽培されているカボチャは、水分が多くねっとりとした食感の「日本カボチャ」、ホクホクして甘みのある「西洋カボチャ」、加熱すると麺状にほぐれる「そうめんカボチャ(金糸瓜)」、見た目がキュウリに似ている「ズッキーニ」、ハロウィン観賞用おもちゃカボチャといった「ペポカボチャ」があります。
秋冬のイメージが強いですが、収穫されるのは夏から秋にかけてです。ただし、切らずに丸ごとの状態で風通しの良い涼しい場所に置いておけば、2〜3か月保存することができます。そのため昔は、収穫が少なくなる冬の時期にも食べられる貴重な野菜として、重宝されました。
実際に、現代の栄養学の視点から考えても、カボチャには寒くなる冬に摂取したい栄養成分がたくさん含まれています。代表的なものは、ビタミンエース(ACE)と呼ばれる抗酸化三大ビタミンです。
ビタミンA(βカロテン)は粘膜を強くし、ウイルスの侵入を防ぐことで知られています。また、ビタミンCはウイルスへの抵抗力や回復力を高めるのに必要な成分、ビタミンEは体の酸化を防ぐ効果が期待できます。これらの栄養素が相乗的に働くことで、免疫機能の強化につながるといえるでしょう。
このほか、ビタミンB1、B2、食物繊維も多く含んでいます。冬至にカボチャを食べることは、暦の上での節目の日に、冬に不足しがちな緑黄色野菜で栄養をつけ、寒さを乗り切ろうとした先人の知恵です。
小豆と一緒にカボチャを煮て食べる地域も
冬至に食べるカボチャを旬の小豆と一緒に煮て、「いとこ煮」にして食べる地域もあります。いとこ煮の名の由来には、同じ畑で生まれ育った豆と野菜を一緒に煮ることからという説や、調理の手順で火の通りにくい食材から「おいおい」煮ることを「甥甥」としたためといった説があります。
小豆は、日本で古くは赤い色が「魔除け」になると信じられていた特別な食材。栄養の視点からみると、抗酸化作用を持つアントシアニンとサポニンが含まれており、便通改善に加え、コレステロールや中性脂肪、血糖値の上昇を抑え、生活習慣病の予防に期待できます。
また、食物繊維も水溶性と不溶性の両方をバランス良く含み、エネルギー代謝に欠かせないビタミンB群も豊富。小豆とのいとこ煮は、これからの季節に心強い食べ物になるでしょう。
Hint-Pot編集部
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