Tuesday, December 12, 2023

食べると違法なマジックマッシュルーム、成分がうつ病に効くかも - au Webポータル

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Imag: Shutterstock

幻覚作用を引き起こすマジックマッシュルーム。もしかしたら、次世代医療の鍵になるかもしれません

オーストラリアの研究チームが、100種類以上ものマジックマッシュルームのゲノムを解析しました。

そのまま摂取したら違法です!

マジックマッシュルームの多くはシロシビンという成分を含んでおり、中でも有名なのはミナミシビレタケというキノコ。

シロシビンは多幸感や感覚の遮断を引き起こすことから、ハイになる=娯楽として摂取されています。マジックマッシュルームと人類は長い付き合いがあり、どうやら私たちのご先祖さまが使っていたという話も。ですが、現在は多くの国と地域でこれは違法です。日本でもダメ!

合法的多幸感という治療

マジックマッシュルームにも含まれるシロシビンと心理療法を掛け合わせた治療を行なうことで、既存の治療法ではアプローチできなかったうつ病、薬物依存、PTSDの人々の助けになるかもしれないことがわかりました。うつ病におけるシロシビンの利用は、今年アメリカで第II相試験に突入。来年前半にはその結果が明らかになる予定です。

薬や治療としてのシロシビンの大規模治験が行なわれる、ひいては合法化されるのはまだ先のこと。ただ、マジックマッシュルームそのものへの注目度も高まっているそうです。

122種類のマジックマッシュルームを入手

オーストラリアにあるクイーンズランド大学の研究チームは、自然栽培・人工栽培のマジックマッシュルームに対する理解を深め、キノコ栽培がどのように変化、影響していったのかを調べる研究を行なっています。

研究チームには、マジックマッシュルームを生産する秘密のアングラコミュニティが協力。なんと、122種類ものマジックマッシュルーム(自然栽培38種、商業栽培86種)のサンプルを入手することができました。チームはこれらのキノコの遺伝子配列を調べて比較。

その結果、商業栽培されたキノコは、野生のキノコと比べると遺伝子多様性が著しく低いことがわかりました。ただし、ここでいう野生キノコは外からオーストラリアに持ち込まれ、そのまま根付いたものが多いことも明らかになり、つまり遺伝子多様性の差は、人工栽培キノコに欠如している多様性を野生キノコが取り返していることを示唆するものとなりました。

「中には、有性生殖に関する遺伝子以外の多様性がなくなってしまった品種もいくつかありました。特性を固定するための同系交配によってこれが故意に起きたのか、またはそもそも多様性にかけて交配できなかったから起きたのか、そこを特定するのは非常に難しいです」そう語るのは、研究論文執筆者のAlistair McTaggart氏。

デザイナーマッシュルームを作ろう

キノコの遺伝子変化の歴史については、まだまだ明らかになっていないことが多いですが、面白いこともわかりました。

オーストラリアにやってきて根付いた野生キノコに、シロシビン生成に関係するちょっと変わった遺伝子変異が見つかったのです。つまりこの変異を利用すれば、シロシビンの合成に違いを持つさまざまなキノコが作れるかもしれません。特定の効果や特性を狙ったカスタマイズキノコデザイナーマッシュルーム誕生の可能性です。

研究論文執筆チームは、すでにスタートアップ「Funky Fungus」を設立。今後のさらなる研究、また医薬品開発のため、ユニークな品種のマジックマッシュルーム栽培研究がスタートアップの課題となっています。

McTaggart氏はこう語っています。

「マジックマッシュルームは、シロシビンを最も安価に入手する術であり、自然薬開発のニッチな隙間を埋めてくれる存在かもしれません。

もちろんシロシビンに影響するほかの物質の生成についても、マジックマッシュルームをさらに研究していく必要はありますが、非常に楽しみな研究分野となりそうです」

研究チームの論文はCurrent Biologyに公開されています。

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