
堀川貴弘
あまりにもあっけない幕切れだった。東京オリンピック(五輪)男子400メートルリレーで、日本は、1走の多田修平と2走の山県亮太でバトンが渡らず、メダルなしに終わった。バトンミスで順位がつかなかったのは五輪では1996年のアトランタ五輪以来だ。
予選と同じオーダーで臨んだ決勝。多田は絶好のスタートを切った。落とし穴はその直後にあった。
前日の予選はミスを避けるため、4人が「安全バトン」と口をそろえた。当然、タイムは落ち、決勝に進んだ8チーム中最下位の38秒16にとどまった。
一方、決勝は逆転を狙った「攻め」のバトンパスを試みた。
2走の山県が予選より「20センチほど」早めにスタート。しかし、多田が、バトンを受け渡す30メートルのテイクオーバーゾーン内で山県にうまく渡せなかった。何度もしゃがみ込み、失敗を悔やんだ多田は「普段は届いている距離だった。つながらなかったのは僕の実力不足」と自分を責めた。
山県は「走りは生もの。予測を重ねても分からないことが起きる」。走ることさえできなかった3走の桐生祥秀、4走小池祐貴も「攻めた結果」を受け入れようとしていた。
金メダルを狙ったこの大会。ライバルを見ても、自己ベストが9秒台の選手を3人そろえられたのは、日本のほか英国しかなかった。実際、37秒43の日本記録で走れれば、頂点に立つことができた。
桐生は言った。「銀でも銅でも僕たちは満足しなかった。次につなげるためにいろんなことを上書きしたい」。努めて前を向こうとした。(堀川貴弘)
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