Wednesday, January 20, 2021

久保建英は「少ない」。変わらない課題とは? ヘタフェ加入で起きた変化と指揮官が求めるプレー【分析コラム】 - フットボールチャンネル

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ラ・リーガ第19節、ヘタフェ対ウエスカが行われ、1-0でヘタフェが勝利を収めた。移籍後初の先発起用となった久保建英は80分までプレー、岡崎慎司は久保と入れ替わるように79分から投入されている。ホセ・ボルダラス監督は久保を称賛すると同時に、今後の活躍を左右しそうな課題を挙げている。(文:加藤健一)

2021年01月21日(Thu)10時23分配信

text by 加藤健一 photo Getty Images
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移籍後初先発の久保建英

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【写真:Getty Images】

 ヘタフェへ期限付き移籍している久保建英は、加入から2試合目にして初先発を飾った。4-2-3-1の布陣で右サイドハーフに入り、バルセロナから同じく期限付き移籍で加わったカルレス・アレニャは2試合連続でトップ下に起用されている。

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 5試合勝ちがないウエスカは前節のベティス戦後にミチェル監督を解任している。昨シーズンにエルチェを1部昇格に導いたパチェタを監督に招聘。怪我や新型コロナウイルスの影響で選手起用に多くの制約がある中、前政権で用いられた4バックではなく、5-4-1の布陣でヘタフェ戦に臨んだ。岡崎慎司は3試合連続でベンチスタートとなっている。

 ヘタフェはマルク・ククレジャと久保の両サイドを起点にチャンスを作った。久保は前半だけで3本のシュートを放ち、2本のラストパスを供給。18分には右寄り26mの位置からFKを直接狙ったが、ニアサイドに飛んだシュートは相手GKに弾かれている。

 試合は0-0のまま終盤に突入したが、ヘタフェがスコアを動かした。相手GKのロングキックをハーフウェイ付近でジェネが競り勝つと、セカンドボールをアレニャが拾う。前を向いたアレニャは右へスルーパスを送ると、中盤から走りこんだマウロ・アランバッリがGKの股を抜くシュートでゴールネットを揺らした。

 79分に投入された岡崎は精力的にボールを引き出したが、シュートチャンスには絡めず。ウエスカは後半アディショナルタイムに混戦の中からホルヘ・プリードが押し込んだが、直前のプレーでディミトリオス・シオバスのハンドが取られて同点ゴールは認められず。交代カードを切ってインテンシティを保ったヘタフェが守り切り、今季初の連勝に成功した。

久保建英&アレニャ加入による変化

 エルチェ、ウエスカと降格圏に沈む相手とはいえ、ヘタフェにとってこの2試合で勝ち点6を積み上げられたことは大きい。順位を10位まで上げ、残留争いから片足を出すことに成功している。

 2人の加入がチームに変化を加えている。エルチェ戦では14本、ウエスカ戦では12本のシュートを放った。2人の加入前は1試合平均のシュート数が9.2本だったことを考えれば、チャンスメイクという課題は改善の兆しを見せている。

 データサイト『Whoscore.com』の集計を見ると、ウエスカ戦では攻撃の46%が久保のいる右サイドから行われている。ファウルを受けた回数はチームトップの4回で、87%という高いパス成功率をマーク。ダブルチームでプレッシャーをかけてくる相手に対しても勇敢にボールを保持し、右サイドで起点となるプレーが効果的だった。

 久保が右サイドで起点となることによって、逆サイドが活かされる。左サイドバックのアラン・ニョムが敵陣でフリーになってボールを持つシーンがこの試合では多かった。しかし、右利きのニョムは左サイドでのプレーになれておらず、クロスボールは精度を欠いた。普段左サイドバックを務めるマティアス・オリベイラを欠いていたのは痛手だった。

課題はビジャレアル時代と変わらず

 ヘタフェは前節から、布陣を4-4-2から4-2-3-1へと変更した。ウエスカ戦後に理由を問われたボルダラス監督はアレニャの特徴を挙げ、ラストパスを出せる選手がそれまでいなかったと説明している。

「彼らは我々の哲学を完璧に理解している」と試合後にホセ・ボルダラス監督は久保とアレニャを称賛した。と同時に「エリアゾーンへの参加が少なかったので、後半はもっと中央に侵入するように伝えた」と久保に課題を出している。

 5-4-1で引いて守る時間が長かったウエスカは、ライン間のスペースを埋めていた。しかし、アレニャはライン間でボールを受けるのが非常にうまく、狭いスペースでも積極的にボールを引き出していた。

 久保は対照的にゴール前に侵入する動きが少なく、ボックス内でのプレーはシュート1本のみ。プレーエリアは右サイドに偏っていた。ボルダラス監督は久保をアレニャと近い位置でプレーさせることを求めており、それこそが得点力不足の解決策になると考えている。

 サイドで起点となるプレーはマジョルカ時代からレベルが高い。アトレティコ・マドリードやバルセロナといったビッグクラブ相手にも高いパフォーマンスを見せていた。

 一方で、ゴール前での仕事はビジャレアルのウナイ・エメリ監督にも求められていた。ペナルティエリア内での貢献が指摘されるのはチームが変わっても変わらない。

 デビュー戦となったエルチェ戦後に指揮官は「彼はカルレス・アレニャのようにクオリティをもたらし、ラストパスも出せる」と評している。久保にとっての課題は伸びしろだ。ゴールにより近い位置で仕事ができるかどうかが、久保の今後の活躍を左右しそうだ。

(文:加藤健一)

【了】

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