ノリの良いB’zの曲を聴きながらの農作業は気分上々。重機を乗りこなし、自然に囲まれたなかで、畑仕事に汗を流す。「疲れた体に流し込む夜のビールは最高です」
京都府福知山市長田、「おちゃのこ菜菜」代表の千々岩千夏さん(43)は「九州のうまい酒」を求め、27歳で福岡県に移住。それから10年後に、夫と子どもを連れて、古里にUターンしてきた。
土いじりが好きで、農家になろうと決意。2020年からの2年間、府の就農者支援事業「担い手養成実践農場」で研修した。
昨年4月、祖父の残した農地などを活用し、新規就農。ナス、ホウレンソウ、ミニトマトなど、少量多品目を生産している。
こだわるのは肥料。米ぬかや酒かすなどの有機物に、微生物を入れて発酵させ、温度管理を徹底しつつ、毎日混ぜたりして丸2カ月かけて作っている。
「この肥料で育てると、甘みが強く、味が濃い野菜になります。野菜嫌いだった子ども2人も、たくさん食べてくれるんですよね」
基本は一人で野菜作りをしているが、農業は力仕事が多く、休日は夫、友人らが手伝ってくれる。
福知山、綾部、舞鶴3市で一次産業に携わる女性グループ「のら×たん ゆらジェンヌ」に所属。「情報共有ができるので、とても助かっています」
丹精込めて育てた野菜は、大型スーパーの直売所などで販売。「ここの野菜はおいしくて好き」と、声をかけてくれる人もいて、「励みになります」と喜ぶ。
現在は、ビニールハウスを建設中で、ミニトマトなどのハウス栽培にも、これから着手するという。
子どもたちが好き嫌いせず、「バクバク食べられる野菜」が理想。「販路を拡大し、ゆくゆくは全国、そして世界に出荷できれば」と、晩酌しながら夢を膨らませている。
写真=重機を乗りこなす千々岩千夏さん
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