性的虐待を受けても「お母さんが幸せそうだったから言えなかった」
――少女たちを取材していて印象的だったエピソードをお聞かせください。 中村 「幸せになるのが怖い」、「幸せを感じたことがない」、「少年院に入った自分が幸せになっていいのか」、そんな言葉を何度も彼女たちの口から聞きました。そんな思いを抱えるに至るまで、今まで一体どんな生活を送ってきたんだろうか。それは女子少年院を回り始めたときから、そして取材をしていくなかでもずっと感じていて。 他にも、初めてご飯を1日3食食べることを知ったとか、初めて信頼できる大人に出会ったのが少年院だったっていう子もいましたね。 東北の女子少年院に、お父さんを刺したという女の子がいました。刺した理由は、お父さんから性的虐待を受けていたから。なんでお母さんに相談しなかったのって聞いたら、「お母さんが幸せそうだったから言えなかった」って。自分も幸せになっていいはずなのに、この子はずっとお母さんに遠慮して我慢していたようです。 こういった子が少年院に送致される理由というのは、親を刺した罪だけが理由ではなくて、子供を置いておけない環境の家から引き離すという意味もあります。
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