孫は伊藤と同年代の20歳で、互いの存在を励みに切磋琢磨してきた。直近では4連敗を喫するなど、金メダルを目指す上で難敵だったが、その壁は高かった。勝負の分岐点になったのは第2ゲーム。9-3とリードしながら8連続得点を奪われるなど逆転された。孫のフォアハンドから繰り出される強烈なボールを最後まで抑えきれず、得意のサーブも攻略された。完全な力負けだった。 白熱した試合だったが、暗い影を落としているのが中国語などによるネット上での誹謗中傷のコメントだ。孫に敗れた伊藤のインスタグラムには、「日本チームのピエロ」、「中国に勝てるのは中国だけだ」など心無いコメントが多数書き込まれている。「私も中国人ですが、美誠ちゃんは素晴らしい選手だと思います。無礼な人を相手にしないでください」と伊藤を擁護するメッセージも見られるが、モラルを欠いた書き込みは度を超えている。 「伊藤が水谷隼(32)=木下グループ=とペアを組んだ卓球混合ダブルスで日本卓球界初の金メダルを獲得したのが、卓球王国の中国にとって屈辱に感じたのでしょう。敵意むき出しで難癖をつけてきたり、嫌がらせをしている。選手にとっても迷惑だし、この状況を放置するのが健全だとは思えない。IOCは何かしら調査するべきではないでしょうか」(スポーツ紙の卓球担当記者) 水谷は28日に自身のツイッターを更新し、「とある国から、『○ね、くたばれ、消えろ』とかめっちゃDMくるんだけど免疫ありすぎる俺の心には1ミリもダメージない」と告白。「それだけ世界中を熱くさせたのかと思うと嬉しいよ 日本人の方は全て応援メッセージです ありがとう」と綴って大きな反響を呼んだが、伊藤に対しても金メダル獲得後に、ネット上の「荒らし行為」がエスカレートした。
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