GI馬8頭の豪華競演となった第37回マイルチャンピオンシップ(11月22日、阪神芝外回り1600m、3歳以上GI)で、クリストフ・ルメールが騎乗した1番人気のグランアレグリア(牝4歳、父ディープインパクト、美浦・藤沢和雄厩舎)が優勝。GI3連勝で、史上8頭目となる同一年春秋マイルGI制覇(安田記念、マイルチャンピオンシップ)を達成した。 【名作】武豊に聞く。ディープインパクトは サイレンススズカを差せるのか。 圧勝だったが、楽なレースではなかった。 内目の4番枠から出たグランアレグリアは、速いスタートを切って楽に好位5番手につけたところまではよかったが、すぐ外に、対戦成績3戦2敗と分が悪いアドマイヤマーズがいた。
ルメールが馬をリラックスさせた
どんなに強い牝馬でも、近くにいる牡馬に終始プレッシャーをかけられる形になると消耗してしまう。それを避けるように、ルメールは、3コーナーを回りながら少しだけグランアレグリアを下げ、アドマイヤマーズを真横ではなく、左斜め前に見る位置に移動して半マイルを通過した。 「すごくいいスタートで、いいポジションだった。すぐに落ち着いたし、ずっとリラックスして、冷静に走ることができました」 ルメールはそう話したが、彼が馬をリラックスさせたと言える。 しかし、せっかく難敵から距離を取ったのに、今度は福永祐一のインディチャンプが外を塞ぐように並びかけてきた。グランアレグリアは他馬に囲まれ、自由には動けないまま4コーナーを回ることになった。 「高速(道路)で渋滞しました。ほかのジョッキーは1番人気の馬をマークする。でも、それも競馬」とルメール。 外をインディチャンプにブロックされたまま4コーナーを回ったが、直線入口で手応えのよかったインディチャンプはグランアレグリアから離れ、馬場の真ん中に持ち出してスパートの態勢に入った。
グランアレグリアが見せつけた凄まじい末脚
それでも、グランアレグリアの目の前にはアドマイヤマーズがいた。その外にはインディチャンプがいて、壁となって前を塞ぐ形になっている。 「いいタイミングで外に出せなかったけど、我慢しました」 そう話したルメールはまず内を突こうとしたが、前のアドマイヤマーズが内にモタれたので、すぐさま外へと進路を切り替えた。 ようやく前方がクリアになったが、もうラスト200mを切っていた。はたしてここから差し切れるのか。ルメールは言う。 「グランアレグリアは瞬発力があるので、スペースができてからすごくいい脚を使ってくれました。直線ではちょっとだけ心配しましたが、最後は強さを見せてくれました」 前のインディチャンプも伸びていただけにどうかと思われたが、そこからグランアレグリアは凄まじい末脚を繰り出した。 インディチャンプの外に並びかけたと思ったら、相手に抵抗する間も与えず抜き去り、3/4馬身差をつけてフィニッシュ。1分32秒0の勝ちタイムで、今年GI3勝目、通算4勝目をマークした。
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