◆第55回スプリンターズS・G1(10月3日、中山競馬場・芝1200メートル、良)
秋G1の開幕を告げるスプリンターズSが3日、中山競馬場で行われた。好位から差し切ったピクシーナイト(福永)がG1初制覇。07年のアストンマーチャン以来となる6頭目の3歳馬Vを飾り、今年の古馬混合重賞で存在感を示す3歳世代がG1でも輝きを放った。スプリント路線の新王者は香港スプリント・G1(12月12日、シャティン・芝1200メートル)を今後のターゲットに見据えた。
新電撃王を名乗り出るように後続を一気に突き放した。残り150メートル過ぎの急坂を駆け上がったピクシーナイトが先頭に躍り出ると四肢をフル回転。好位3番手からあっさり抜け出した3歳馬が、短距離戦では決定的な2馬身差をつけるゴールを駆け抜けた。
秋G1開幕の中山で3歳馬が世代交代を高らかに宣言した。好リードの福永は「本当に良くなるのは来年以降だし、こんなに早く1200メートルの舞台でG1を取れるとは。想像を超えていた」と気分良さそうに汗を拭った。
好スタートが勝負の分かれ目だった。鞍上が「逃げ馬の後ろという選択肢は考えていなかった。想定ではもう一列後ろだった」と舌を巻くほどのロケットスタート。文字通り好位のポケットへスムーズに相棒を誘導した。昨年は前半600メートルが32秒8の激流だったが、今年は33秒3。比較的追走が楽になったことが、最後の末脚の爆発力につながった。
デビュー以来すべての手綱を執り続けている鞍上は、G1級のポテンシャルを感じていた。「ロードカナロアの若い頃のような感覚に似ていた」。自身も3、4歳時に手綱を執り、世界的名馬に成長を遂げたG1・6勝ホースを引き合いに賛辞を惜しまなかった。
不安視された中2週の過密日程が杞憂に終わるほどの完勝劇。音無調教師は「装鞍所でも落ち着いていたし、前走後5日ほど放牧に出したのが良かったのかな」と信じられない表情で振り返った。次のステップについては「オーナーと相談して香港に登録して、選ばれれば行きたい」と海外のスプリントG1参戦を明言した。
父に初のG1タイトルを贈ったモーリス産駒の進撃は始まったばかりだ。今年の古馬混合重賞は、ソダシの札幌記念Vなど3歳馬が5度目の勝利。“新政権”が誕生したスプリント路線を筆頭に、3歳勢から目が離せない秋になった。(石行 佑介)
◆ピクシーナイト 父モーリス、母ピクシーホロウ(父キングヘイロー)。栗東・音無秀孝厩舎所属の牡3歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算8戦3勝。重賞2勝目。主な勝ち鞍は21年シンザン記念・G3。総収得賞金は2億2764万2000円。馬主は(有)シルクレーシング。
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