Ｊ１横浜ＣのＦＷ三浦知良（５３）が、２３日のリーグ戦アウェー、川崎戦で先発する可能性が２２日、高まった。オンライン取材に応じた下平隆宏監督（４８）が「カズさんの力が必要」とメンバー入りを明言。Ｊ１の出場は２００７年１２月１日の浦和戦以来４６８０日ぶりとなり、５３歳６か月２８日での出場は、２０１２年のＦＷ中山雅史（当時札幌）が持つ４５歳２か月１日の同最年長出場記録を大幅に更新する。
リーグ後半戦初戦、ついにカズの出番がやってくる。この日、オンライン上で取材に応じた下平監督は「後半戦最初の大事な試合。チームに勢いをつけるためにも、カズさんの力が必要」とメンバー入りを明言した。関係者によると、先発する可能性が高いという。
プロ３５年目、今季のカズは、ルヴァン杯では８月５日の鳥栖戦と同１２日の札幌戦で先発し、大会の最年長出場記録を更新。リーグ戦では１３日・名古屋戦で今季初めてメンバー入りした。出番なしに終わったが、この３試合は無敗（２勝１分け）。また、出場したＪ２のリーグ戦は１８年４月１日の金沢戦（０●４）を最後に１１試合負けなし（９勝２分け）というデータもあり、下平監督も「カズさんがいるだけで、チームの士気が上がる」と期待を込めて、首位を独走する川崎に挑む。さらに、指揮官は「（中村）俊輔も（松井）大輔も非常にコンディションは良い。レジェンド３人がそろう可能性も十分ある」。昨夏に中村加入後、初めて３人がそろって先発ピッチに並ぶ可能性も示唆した。
新たなキング伝説を紡ぐには、ふさわしい場所だ。アウェー・川崎戦の会場は、等々力陸上競技場。カズがＪリーグ創成期に黄金期を築いたヴェルディ川崎（現・東京ヴェルディ）のホームスタジアムだった。９３年に初代リーグＭＶＰに輝き、９６年には２３得点で得点王にも輝いた。Ｊリーグの公式戦で記録した１８０得点のスタジアム別内訳では、等々力は３０点でトップ（２位は国立競技場２６点）。相性抜群といえる。
年長出場記録について、カズ自身は無関心を貫く。そのことに話題が及ぶと「毎試合先発、フル出場、勝利することを考えている。１、２分でも出たら記録更新になっちゃうからね。あまり興味はないよね」と笑う。本人が狙うのは、ジーコ（鹿島）が持つＪ１最年長得点記録（４１歳３か月１２日）を更新することと、ゴール後にソーシャルディスタンスを保った「１人カズダンス」を披露すること。数々の歴史を刻んだ“聖地”で、カズが偉業に挑む。（田中 雄己）
◆海外の年長出場記録 トップリーグではイングランド１部（当時最高峰）の元イングランド代表ＦＷスタンリー・マシューズが１９６５年に記録した５０歳５日が最年長とされる。９２年のプレミアリーグ創設後の最年長出場記録は現地報道によると、９５年にＧＫジョン・バリッジ（マンチェスターＣ）が記録した４３歳１６２日。イタリア・セリエＡは、０８年のＧＫマルコ・バロッタ（ラツィオ）の４４歳３８日。同選手は欧州チャンピオンズリーグの最年長出場記録（０７年・４３歳２５３日）も保持。
◆三浦 知良（みうら・かずよし）１９６７年２月２６日、静岡市生まれ。５３歳。静岡学園高を中退してブラジルに留学し、８６年にサントスとプロ契約。読売クラブ（現東京Ｖ）、アジア人初のセリエＡ選手となったジェノアなどを経て２００５年に横浜Ｃ加入。国際Ａマッチ通算８９試合５５得点。Ｊ１通算３２１試合１３９得点。１７７センチ、７２キロ。家族はタレントのりさ子夫人と２男。
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