Tuesday, June 1, 2021

ニホンジカ、農作物食べると早く成長 頭数増加にも影響? - 毎日新聞 - 毎日新聞

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登山道近くの樹林帯に現れたニホンジカの雄=長野、山梨県境の奥秩父主脈で2019年、武田博仁撮影 拡大
登山道近くの樹林帯に現れたニホンジカの雄=長野、山梨県境の奥秩父主脈で2019年、武田博仁撮影

 「草木ではなく農作物を食べる野生のニホンジカは、早く成長する」という研究結果を農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、茨城県つくば市)などのグループが発表した。若い鹿は体が大きいほど妊娠率が高く、農作物の摂取が頭数の増加を加速させている可能性もある。研究員は「鹿を増やしすぎないためには、駆除に加え、電気柵を設けるなどして農作物を食べさせないことが重要と確認された」と話す。

 環境省によると、ニホンジカの分布域は2018年度までの40年間で約2・7倍になった。東北の青森、秋田両県や北陸などでも、はっきりと姿が確認されるようになった。農林水産省によると、全国の鳥獣別農作物被害額(19年度)は鹿が最も大きく約53億円。2位のイノシシ約46億円、3位のカラス約13億円を引き離す。13年度以降は年間50万頭以上が捕獲されており、この20年間で4倍以上になった。

 農地で作られた野菜や稲などの農作物は農地外の植物と比べて栄養価が高く、鹿にとっては格好の餌だが、成長や繁殖にどう影響するかは分かっていなかった。グループは、鹿による農作物の被害が大きい長野、群馬両県で12~19年に捕獲された雌のニホンジカ152頭を「0歳」「1~4歳」「5歳以上」の3グループに分けて調査した。

 数年間に摂取した食物を反映する骨のコラーゲンを分析すると、0歳と1~4歳では、農作物に依存していたことを示す数値が高い個体ほど、体が大きくなっていた。うち1~4歳では、体が大きい個体ほど妊娠率も高かったという。5歳以上になると、数値と体の大きさ、妊娠率に関係がみられなかった。

 研究成果は4月、米生態学会発行の科学雑誌「エコスフィア」で発表された。農研機構の秦彩夏研究員は「将来的に、農作物を多く食べてきた鹿の生息分布を知ることができれば、効果的に頭数や食害を減らせる可能性がある」と期待する。【野呂賢治】

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