西武は20日、日本ハムの吉川光夫投手(32)を金銭トレードで獲得したことを発表した。今季は5試合の登板に終わったが12年には14勝5敗でMVPにも輝いた左腕は、慢性的に左投手が不足しているチームの補強ポイントにもマッチ。来季の2年ぶりのリーグ優勝を見据え、戦力補強に動いた。
仲間と大声ではしゃぐなど羽目を外すイメージはほとんどない。報道陣とあまり目を合わせないのは不機嫌なわけでなく、恥ずかしがり屋なだけ。吉川光夫には勝手にそんなイメージを抱いている。
初めて取材したのは2014年の春季キャンプの休日だった。栗山監督が吉川の開幕投手を発表したが、当の本人は休日返上でランニングへ。その後は宿舎で待ち構える報道陣を避けるように裏口から自室に帰ってしまった。キャンプ中も練習メニュー通りの動きをせず、毎日のようにブルペンで投げ込んだ。意図を聞いてもなかなか具体的なコメントが返ってこない。「なかなか取材しにくい選手かもしれない…」。率直な第一印象だった。
だが、そんな心配も杞憂(きゆう)だった。こちらがしっかり準備してぶつけた質問には誠心誠意を込めて答えてくれた。野球以外で特に話が弾んだのは読書について。無類の読書家で好きなジャンルは歴史小説だった。司馬遼太郎原作の「龍馬がゆく」がお気に入りで「長編ですけど信念を持って龍馬が動いていくところが分かるのが面白い」と話していた。その姿が愚直に打者に立ち向かう姿と重なり、妙に納得したことを覚えている。
当時の取材メモを振り返ると好きな作家に池井戸潤も挙げていた。テレビドラマと同時進行として話題になった同氏原作の「下町ロケット2 ガウディ計画」も発売と同時に読破。もちろん「半沢直樹」シリーズも好んで読んでいた。当時は2人の息子も幼く、絵本の読み聞かせも得意だったそうで「本読みは強弱が大事。投球も同じで押し引きが大事」と語っていた。恥ずかしがり屋だが、しっかりとユーモアも兼ね備えていた。
リーグ優勝した2012年に14勝5敗、防御率1・71で最優秀防御率、MVP、ベストナインを受賞。その後は2015年の11勝以外は不本意な成績が続く。巨人に移籍し、古巣・日本ハムに戻り、次なる新天地は西武。ヤンキース・田中、巨人・坂本らと同じ1988年生まれの32歳。まだまだ老け込む年齢でない。(2014~2017年 日本ハム担当・柳原 直之)
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