巨人の坂本勇人内野手(31)の通算2000安打達成へカウントダウンの日々が続いている。
スポーツ報知では「坂本勇人2000安打への道」と題して、これまでの勇人の活躍を当時の記事で振り返る特別企画を実施。歴代の「坂本番」記者が選んだ思い出の記事を全34回で紹介する。
16回目は2012年担当・尾形圭亮記者の「猛打賞で最多安打の初タイトル獲得」。
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巨人がペナント最終戦を、矢野の自身初となるサヨナラ本塁打で締めくくった。最多安打争いでリーグ3位につけていた坂本は、今季20度目の猛打賞でトップの長野に並び、初のタイトルを獲得。17日からクライマックスシリーズ(CS)最終ステージに臨む。
◆巨人2-1DeNA(延長10回=2012年10月7日・東京ドーム)[勝]福田 50試合8勝1敗[敗]藤江 51試合3勝5敗1セーブ▼[本]=井手2号(ホールトン・7回)矢野1号(藤江・10回)▼[二]=坂本、高城、寺内
達成感とは違う感情がこみ上げてきた。坂本の目に真っ先に飛び込んできたのは、背番号7の姿だった。「長野さんがベンチでガッツポーズしてくれて、それが一番うれしかった。同じ右打者で見て学ぶことも多い。その長野さんと競って一緒にタイトルを取れてよかった」
長野と並んでのリーグ最多安打へ。最終戦のノルマは、3安打と厳しいものだった。初回と5回に安打し、迎えた7回1死。加賀美の外角直球に左腕1本で食らいつき打球を右前に落とした。今季173安打目。長嶋茂雄に並ぶシーズン20度目の猛打賞で、ついに追いついた。
二塁に進んだ直後、長野に代打が送られると目の辺りをぬぐうしぐさも見せた。「全然違いますよ。汗がすごかったので」と、涙を否定する坂本だが、その思いを原監督が代弁した。
「感慨もひとしおだと思う。3本打った坂本もすごいけど、記録に挑戦させた長野も素晴らしい。彼らにとってもジャイアンツにとっても、記録に並んだということで、それ以上、打席に立たせることはできなかった。2人とも素晴らしい選手に成長した」
全試合に出場したからこその栄誉。だが、これも簡単なことではなかった。試合に出続ける中で足、腰、手首など度重なる負傷と戦ってきた。
そんな苦しい時に思い出すのが、トレーナーから言われた言葉だ。「例えば足が痛くても、目の前に腹をすかせたトラがいたら全力で逃げるだろ? 命をかけた状況でも逃げられない時以外は、試合に出続けるんだ」―。
この日も、5回にホームに頭から滑り込んだ際に左手をスパイクで踏まれたが、へこたれなかった。「プレーに支障がないから大丈夫」。いつも万全の状態に近づける準備を欠かさず、必死でグラウンドに立ち続けた。
「(最多安打は)厳しいとは思いましたが、全力を尽くしてやってみようと思っていました。1番打者として多くの打席に立たせてもらって感謝しています」。揺るぎない信念と覚悟が、初めてのタイトルをたぐり寄せた。(尾形圭亮)
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