Tuesday, January 14, 2020

食べ残し給食の持ち帰りダメ、教諭を懲戒処分…堺市に「24年前の教訓」 - 読売新聞

 学校給食の「食品ロス」を削減する取り組みが各地で広がる中、食べ残しの持ち帰りを巡り議論が起きている。食べ残しは年約2万トンに及び、各学校は、肥料にしたり、児童らへの「食育」を充実させたりしているが、多くが持ち帰りは禁じている。先月には堺市の高校教諭が生徒が食べ残した給食のパンなどを持ち帰ったとして懲戒処分を受けた。なぜ持ち帰りはダメなのだろうか。

 

■もったいない

 「規律違反で誠に遺憾だ」。先月25日、堺市教委の幹部は記者会見で、市立堺高校定時制の男性教諭(62)が無断で給食を持ち帰っていたことを明らかにし、謝罪した。

 市教委によると、男性教諭は昨年6月までの4年間、廃棄予定だった食べ残しの給食のパン約1000個と牛乳約4200本を持ち帰っていたという。

 給食は、夜間定時制の生徒が休憩時間に食べるためのもので、全額公費負担。生徒が欠席したり、食べなかったりして1日10~30食分が余っており、男性教諭は「もったいないと思った」「廃棄の手間を省ける」などと説明した。

 男性教諭は減給3か月の懲戒処分を受け、依願退職。市は、「窃盗や横領にあたる可能性もある重大な問題」と判断したという。

 ところが、この処分が報じられると、市に電話やメールが殺到した。これまでに約430件に上り、「処分は当然」との意見もあったが、大半が「厳しすぎる」などの批判だった。ツイッターなどSNS上でも議論が巻き起こった。

 

■24年前の教訓

 処分が注目を集めた背景には、食品ロス問題への意識の高まりがある。

 環境省によると、国内の食品ロスは年約600万トンで、学校給食は約2万トン。児童・生徒1人あたりでは年7・1キロに上るという。

 昨年5月には削減推進法が成立し、官民で取り組みが進む中、堺市の処分は時代に逆行するというわけだ。

 しかし、問題は単純ではない。

 市では1996年、給食が原因で病原性大腸菌オー157の集団食中毒が発生。児童ら約9500人が罹患りかんし、4人が死亡した。

 文部省(現・文部科学省)は翌97年、学校給食衛生管理基準を策定。給食の持ち帰りについて「衛生上の見地から、禁止が望ましい」と明記した。堺市もこの基準に沿って、持ち帰りを禁止。市教委の担当者は「24年前の食中毒は二度と繰り返してはいけない悲劇として、教員らの胸に刻まれている」と話す。

 

■削減へ工夫

 文科省の基準を守りながら、食べ残しを削減する取り組みは広がっている。

 京都府宇治市では2016年から給食の準備時間を10分以内に短縮し、食べる時間を増やした結果、1人あたりの食べ残し量が65%減った学校もあったという。

 静岡県藤枝市では18年から動画を使って食べ物の大切さを指導。堆肥たいひなどに再利用するため生ごみ処理機を導入する学校も多い。

 環境省も15年度から削減に努める学校を支援する補助事業を導入し、取り組みを促している。

 一部では、持ち帰りを解禁する自治体もある。

 福岡市では保護者から「もったいない」との意見があり、11年から一部の小学校でパンの持ち帰りを認めたところ、食べ残しは実施前の4・4%から3・2%に減った。

 「その日に食べる」など衛生上のルールを徹底させ、16年度までに全小中学校に拡大したが、これまで食中毒などは起きていないという。

 文科省は、持ち帰り基準を見直す予定はないとした上で、「衛生上の問題を考慮しながら、自治体ごとに判断してほしい」としている。

 食品ロス問題に詳しい環境カウンセラーの崎田裕子さんの話「教諭が本当に『もったいない』と感じたのなら、食べ残しを削減する方法を学校で話し合うべきだった。一方、外食では、食べ残しの持ち帰りを進める機運が高まっており、学校現場でも火を通したメニューなどに限って容認するなどルールを決めて取り組んでもいいのではないか」

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