4月11日(アメリカ時間)、男子ゴルフの海外メジャー大会「マスターズ・トーナメント」で松山英樹選手が初優勝を果たし、日本中が大きな喜びに包まれました。“アジア人”として初の快挙です。
日本の各メディアでは松山選手が優勝を決めた瞬間を何度も放送していましたが、もうひとつ、松山選手のサポートをしていた早藤将太キャディーが取った行動も注目を集めました。
それは、早藤キャディーが最終18番ホールで手にしていた黄色いピンをホールに戻したあと、自分の帽子を静かに取り、コースに向かって一礼するという行為でした。
ツイッター上で賞賛の嵐
アメリカのスポーツ専門局が、このときの動画をツイッターに投稿したところ、投稿から8時間経った4月12日午後5時(日本時間)時点で合計250万回以上も再生されるなど、大反響を呼んでいます。
松山英樹選手、キャディの行動でも世界に感動広がる。帽子を脱ぎ、一礼を…
ツイッター上には、アメリカ人を中心に「すごい光景だ」「なんてすばらしい瞬間なんだ」「清々しい!」「さすが日本人」と称賛するコメントが次々に書き込まれました。
このニュースが日本で報道されると、日本人も同じように感動。「海外の人にこんなに評価されて、うれしいです」「同じ日本人として誇りに思います」などのコメントが相次ぎました。
日本では剣道などで「礼に始まり、礼に終わる」といわれますし、野球場やサッカー場などでも、深々と一礼するという行為はよく見かけるもので、日本人にとっては初めて見る行為ではありませんが、日本人の感謝や礼節、敬意といった気持ちが、マスターズという大舞台で、早藤キャディーの行動を通してアメリカ人など世界中の人々に伝わったことは、日本人として本当にうれしいことだと思います。
しかし、この早藤キャディーが取った「日本人らしい行動」を喜んでいたのは、アメリカ人や日本人だけではありません。アメリカに住んでいる中国人や韓国人などアジア系の人々の間でも大きな感動を呼んだのです。
アメリカでアジア人は一括りだからこそ
アメリカに住む私の中国人の友人は、日本にも1年間だけ住んだ経験があったので、早藤キャディーがゴルフ場に一礼をした姿を見て「とても日本人らしい。すばらしい」と思ったそうですが、その後のツイッターなどの反響の大きさに、「まるで自分事のように、さらに感動しました」とSNSで私に連絡をくれました。
その友人はアメリカに住んで7年。大学院を卒業後、今は現地企業に就職していますが、アメリカでの有形無形の「アジア人差別」に苦しんできたといいます。その友人は中国語、英語、日本語の3か国語が堪能ですが、その友人によれば、アメリカでは「中国人、日本人と分けず、アジア人はみんな一括りにされて、同じような目で見られている」といいます。
日本では、米中関係が悪化して、双方の国民感情の悪化が、無関係の日本人にまで飛び火してしまっているように思っている人が多いかもしれませんが、友人の話では、たとえ彼が日本語を話し、周囲から日本人だと思われたとしても、やはり差別されるし、逆に、日本人が中国人や韓国人だと勘違いされても、同じように差別される、といいます。
このように、アメリカでは「アジア人全体」への深刻な差別が広がっている状況です。
なので、アメリカ人が松山選手の優勝や、早藤キャディーの行動を賞賛する姿を見て、彼は「自分は同じアジア人の一人。だからこそ、アメリカでこのように同じアジア出身の日本人が実力で優勝を勝ち取り、それが賞賛されたことに深い感動を覚え、自分自身も勇気をもらったような気がしました」と話してくれました。
この話を聞き、私は松山選手の功績は、“日本人として初”というところだけでなく、“アジア人として初”というところに、より大きな価値と、この複雑な時代だからこその重い意味があるのではないか、と思いました。
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