Thursday, April 29, 2021

【谷繁元信】阪神チェン35歳で欠く迫力、変わらぬ課題は苦手な左打者対策 - 評論家コラム - 野球コラム - ニッカンスポーツ

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中日対阪神 6回を1失点と好投する阪神先発のチェン(撮影・前田充)
中日対阪神 6回を1失点と好投する阪神先発のチェン(撮影・前田充)

<中日2-6阪神>◇29日◇バンテリンドーム

阪神チェン・ウェイン投手(35)の投球をじっくりと見るのは、バッテリーを組んでいた中日時代以来、10年ぶりだった。

当時は直球が145キロから150キロの間。いい時の立ち上がりは初速と終速がほぼ変わらず、角度もあってメチャクチャ速く感じた。「全球ストレートでも抑えられる」と思わせるほどで、さすがに見せ球で変化球も使ったが、そういう感覚になる投手はなかなかいなかった。

そのイメージが強い分、35歳の今は迫力に欠けているのは否めない。ただ良くはないけど、今できるベストのボールで抑えようという意識は感じられた。球種のコンビネーションと、直球にちょっとした強弱をつけて空間の中での緩急を駆使しながら抑えていた。直球は130キロ台後半から140キロ前半ぐらいだが、初速と終速が変わらない、きれいな回転のフォーシームという球質は昔を思わせた。

一方で課題も変わっていない。スライダー、カットボール、カーブ、フォークと左打者の内角に食い込む球種がないため、左打者に弱い。この日も許した5安打中4安打は左打者だった。ここを違うボールや打者への意識づけで補うのかは、必要になってくる。

阪神はガンケルが先発で健闘し、守護神スアレスは外せない。先発候補のアルカンタラに加え、野手もロハス・ジュニアが2軍に控え、外国人枠の競争が激しい。野球選手みんなが通る道だが、昔の自分を追い求めて失敗するのか、今あるボールで抑える道を探すのか。今季初登板を見る限り、後者に映った。一緒に組んでいた者として、課題をクリアしながら、新たな姿を見せ、まだまだ頑張ってほしい。(日刊スポーツ評論家)

中日対阪神 4回、梅野隆太郎(右)と話ながらベンチに引き揚げるチェン(撮影・上田博志)
中日対阪神 4回、梅野隆太郎(右)と話ながらベンチに引き揚げるチェン(撮影・上田博志)

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