◇メジャー第3戦◇マスターズ 最終日(11日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7475yd(パー72)
興奮冷めやらぬ18番グリーンで、早藤将太キャディは静かに頭を下げた。ピンを挿し、コースに向かって一礼。米スポーツ専門局のESPNがツイッターで取り上げ、日本人らしい所作は新たなマスターズチャンピオン誕生にユニークな話題を添えた。
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松山英樹の相棒として偉業達成をサポートした早藤キャディ。オーガスタ入りして大会開幕前に練習ラウンドを終えたときの“予言”を明かす。
「プロが『今週いけるかも』って言ったんですよ。ボソッと。勝つ勝たないは分からないですけど、上に来るっていう自分の感覚だと思います。『今週いけると思う』『優勝しよう』って」
開幕してからも、変化を感じていた。「明らかに今週はすごく穏やかに、波を立てず、みたいな感じで、自分で意識してプレーしているように見えました。本当にキレそうなところを、全部ガマン強く」と振り返る。この日も5番で5m強のパーパットをねじ込むなど、4日間を通じて際どいパットを決められたことが心のよりどころになった。
最終日最終組は午後2時40分スタート。午前9時にセットした目覚ましが鳴るはるか前、午前6時半に目が覚めたという。「早くピン位置が出ないかな、予行演習したいなって、朝から僕がソワソワしちゃって。それを見て、プロが『寝られた?』って。『6時半に起きちゃったっす』って言ったら『オレもちょっと早く起きちゃった』って。自分でも、朝から緊張しているのを受け入れている感じがあって、うまくいくかもって思いましたね」。何気ないやり取りからも、予感は漂っていた。
2019年からタッグを組んだ中学、高校と大学の先輩と後輩。安定した活躍の一方でタイトルを欲していた。「僕より、プロの方が数百倍苦しかったんじゃないですかね。キャディが変わったから成績が良くないとか、今年だったらコーチが付いたから成績が良くないとか。そう言われるのって、彼はすごくイヤだと思うんで」と胸中を思いやる。
信念は固かった。「やることをやっていたら、いつかは来ると思っていました。折れずに、休まずに。いや、(途中で)折れかかることもあったかもしれないですけど…」。いまなら笑って言える。全てを乗り越え、日本人として初めてグリーンジャケットをつかんだ最強のコンビになった。(ジョージア州オーガスタ/亀山泰宏)
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