2月25日(現地時間)、ドイツ・オーベルストドルフでノルディックスキー世界選手権のジャンプ女子ノーマルヒルが行なわれ、高梨沙羅は銅メダルを獲得した。 【写真】男子選手も女子選手も記録向上だけを目指して…トップアスリートが選んだ最新のユニフォーム(10枚) 2大会ぶりの表彰台。ただ、順位が確定し、テレビでのインタビューに応じるときも、その後の記者会見でも、その表情に笑顔はなかった。 前大会で実施されたノーマルヒル、団体、混合団体に、個人種目としてラージヒルが加わった。大会期間中という尺で考えると、どこかでつまずきがあっても立て直し、挑む機会が増えることになる。 これら4つの中で最初に実施されたのがノーマルヒルだった。オリンピックでの戦いがノーマルヒルのみであることを見据えれば、このジャンプは重要な意味を持つ。 試合は厳しい状況のもとで始まった。暖かな気候の中、ジャンプには不向きな追い風が吹き、ときにそれが強まり、あるいは弱まり、ジャンプ台の位置によって吹いてくる角度も変わる。 だから最後に落ちるように失速し、首をかしげる選手の姿も少なくはなかった。
悪コンディションで発揮される技術の差
それでもワールドカップで上位の選手には、コンディションをものともせず、距離を伸ばすジャンプが見られる。1回目が終わり、今季ワールドカップ3勝で総合4位につけるマリタ・クラマーが109.0mでトップに立つ。総合5位のエマ・クリネツ、総合2位の高梨が後に続いた。 迎えた2回目、ワールドカップでは目立つ活躍がないものの、平昌五輪金メダルの実績を持つマーレン・ルンビーが好ジャンプを見せ、首位に。 残るは1回目の上位3人。 高梨が踏み切り、放物線を描く。空中でバランスをとりながら、でも最後、ひと伸びに欠けた。100.0m、この時点でルンビ―に次ぐ2位。続くクリネツが1回目に続き安定したジャンプで100.5mと高梨を上回る。最後のクラマーは98.0mで4位に後退。高梨の銅メダルが確定した。 直後、テレビのインタビューでこう答えた。 「正直言うと、なんともいえない気持ちです」 「今は複雑な気持ちで整理できていないです」 それから間を置いた記者会見での取材陣とのやりとりでは、優勝したクリネツの279.6点に対し高梨が276.3点と僅差で及ばなかった理由に、テレマークをあげた。 「内容としてはこちらに来て、いちばんいいジャンプを2本そろえられたと思います。ただ空中でスキーが抜ける感じがあって、テレマークを入れることができませんでした。飛型点がいちばんの反省だったと思います」 テレマークが入る入らないでジャッジによる点数は異なってくる。1回目にトップに立ったクラマーが2回目で表彰台を逃したのも、着地での乱れが響いたからだ。 「私の予想の中で、もう少し行ける、そのまま飛んで行ける気がしていたけれど、予想外のところに落ちてしまったというか」 思ったより早く着地したことで、完全なテレマークを入れられなかった。 「風を予期してテレマークを入れられた選手もいました。自分の中ではまだ経験が足りなかったし、練習不足があったと思います」
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