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そろそろ遠くに旅したい!とうずうずしている人も多いのでは。旅行ライターの山田静さんがちょっぴり冒険できる旅を紹介するシリーズ。2019年3月に訪れた、誰もがイメージするスペインがぎゅっと詰まった魅惑のアンダルシアをご紹介しています。4回目となる最終回は、アンダルシアの旅のコツ。
(トップ写真はセビリアの街並み)
■何回目かのひとり旅、ちょっとだけ冒険してみたい。そんな旅人のヒントになりそうな旅先や旅のスタイルを紹介している連載「ちょっと冒険ひとり旅」。京都で旅館の運営をしながら、旅行ライターとしても活躍する山田静さんが、飛行機やバスを乗り継いで比較的簡単に行ける、旅しがいのあるスポットをご紹介していきます。バックナンバーはこちら
アンダルシアはどう巡る?
アンダルシア州の面積は約8万7000平方キロ、北海道より少し大きいくらいだ。広いといえば広いが、見どころがある街がバスで1〜2時間くらいの距離に点在しているので、1週間程度で主なスポットをぐるっと回れる。毎日違う街に泊まってもいいし、2、3都市を拠点に日帰りで近くの街を巡るのもいい。筆者の場合はグラナダ、セビリア、アルヘシラスに2泊ずつ、コルドバに1泊した。
移動には鉄道よりバスが便利。路線も便数も多く、お祭りやバカンスシーズンなど繁忙期でなければチケットは当日バスターミナルの窓口で買える。ALSAなど大手のバス会社なら、自社の予約サイトもある(英語)。
スペイン全土をつなぐ鉄道Renfe(レンフェ)。スペイン各地からアンダルシア域内へのアクセスは、高速列車AVEや飛行機が速いし便利。ちなみに首都マドリードからグラナダは高速列車で3時間ほど
グラナダのバスターミナル。ほとんどの街には中心部にバスターミナルがあり、出発10〜15分ほど前に指定の乗り場にバスがやってくる。行き先を確認し、チケットを提示して乗り込む
セビリアのバスターミナル。チケット売り場はバス会社ごとに分かれていて、時刻表やネットで乗りたいバスを調べて該当する会社の窓口に行く。スペイン語ができなくても、「グラナダ、ウノ(1枚)!」と地名と必要枚数だけ言えばいいが、心配なら紙に書いて渡すといい。売店やトイレなど、日本のバスターミナルと施設内設備はほぼ同じだ
ターミナル内の電光掲示板に、行き先とプラットフォーム番号、出発時間が掲示される。途中下車する場合は行き先に表示されないので、どこ行きのバスなのか、チケット売り場で確認すべし
ALSA社バスの車内。全席指定でほとんどのバスがWi-Fiフリーだった
セビリアの地下鉄構内。バスターミナルや駅など、公共交通機関の建物の装飾が美しく、街の美観というのはこんなところでも形づくられるのだなと感じた
どこに泊まる? ホテル事情
超高級ホテルや歴史的建造物を改築した宿、大型ビジネスホテル、ゲストハウス、民泊など幅広い種類がある。
ひとり旅は部屋がシェアできないので宿代が高くつく。それでも最低限の快適さは確保したいので、個室・シャワー・願わくば冷暖房つきという条件で、だいたい1泊3000円〜5000円という予算で探した。スペインは西欧諸国の中では宿代が安いと言われるが、さすがの観光地、1泊5000円で収まらないところもあった。
ちなみに立地は、どの国に行っても「駅(またはバスターミナル)近く」または「旧市街」で絞り込むことにしている。前者は夜道のひとり歩きを避けたいため、後者は単に面白い宿が見つかる可能性が高いからだ。
コルドバの宿は1泊3700円(以下すべて日本円換算で表記)。部屋はベッドと小さな机があるだけの簡素なものだが、共有ロビーが広くていい感じ。フルーツや飲み物はいつでも無料、朝はやはり無料でパン数種類が置かれていた
グラナダの宿、1泊およそ5000円。ちょっと照れるようなかわいらしいインテリア
セビリアの宿、1泊およそ9000円。狭くて高いが旧市街のど真ん中で街歩きに便利、日当たりもよく居心地がよかった
セビリアの宿、バルコニーから眺める街並み。地元の人からしたら、なんてことない風景だろうが、旅人にはこういうのがうれしい
アンダルシア南部の港町・アルヘシラスの宿は1泊およそ3700円。ベッドルーム、リビングルーム、それに写真のキッチン付きでお値打ち価格。夏のバカンス客に向けた部屋のつくりなのだとか
なにを食べる? グルメ事情
ひとり旅歴が長くひとりメシにも慣れていて、どの国に行っても食事に困った経験があまりないのだが、スペインでは最初戸惑った。まず食事時間が、昼は14時ごろ、夜は21時ごろがコアタイムなので、「ちゃっちゃと食べてさっさと寝たい」ひとり旅にあわない。さらにこの国ではカップル文化がまだ根強く、ディナーはおしゃれしてカップルや家族で出かけワイン片手にゆっくり、という人が多数派だ。ひとりメシ派(しかも下戸)はちょっと立派なレストランだと、断られはしないが浮いた存在になってしまう。
と、いうわけで、名物料理を食べたいときは人気店のランチを狙い、ディナーはテイクアウトのデリやカフェで軽くすませる、というパターンに落ち着いた。
ひとりで入りやすいのは、たとえばこういうお店。バル(バー)とカフェの中間くらいの雰囲気で、宿の人に「ひとりならここがいいよ」とお薦めしてもらった。何を食べてもおいしくてサービスもよく、やっぱり地元の人に聞くのが効率がいいと実感
タラのガーリックソース。アンダルシアは海産物の種類が豊富で、味も外れなし。このソースにパンをつけて食べると止まらないおいしさ
なすのフリット(フライ)。カリッとした衣は塩とコショウのシンプルな味付けで、ワインにあいそうだが下戸で飲めないのが残念。バルでタパス(おつまみ)を色々と食べ比べるのがスペイングルメの楽しみ、などとガイドブックには書かれているが、ひと皿でこれくらいの量が出てくるので、そう簡単には食べ比べられない
サーモンのグリル。上のナスのフリット、さらに前菜と3品頼んで13.20ユーロ。安い! 身の締まったサーモンがしみじみおいしい
これぞスペイン!な生ハムサンド。これを買って帰って、コーヒーを飲みながら宿でひとり夕食、というのも旅っぽくて楽しかった。スペインがいちばん懐かしくなるのは、この生ハムのおいしさを思い出したときだ
アルヘシラスの定食屋。食べたいものを指さし皿に盛ってもらうアジアっぽいスタイル。港の安食堂だが、ひとり飯には十分で、こういう店にもっとあちこちで出会いたかった……。サフランライスとおかず数品、チキンの盛り合わせで5ユーロと格安
セビリアの宿、宿代に含まれていた朝食。街角のカフェではコーヒーとチュロス、あるいはペストリー類がセットになったモーニングを提供するところが多い
街角スーパーマーケット。アジア食材が豊富なので、こういうお店でインスタント麺を買って宿で食べるのも面白い
以上、アンダルシア地方の旅についてご紹介してきた。コロナ禍で観光地の客足は激減し、閉店したレストランや宿も少なくないと聞く。だが、長い歴史が形作った美しい街並み、壮麗な建造物、目に痛いほどの青空、人なつっこく親切な人々……アンダルシアの魅力は一度や二度の旅では味わいきれない。またあの明るいお日さまの下で、地元の人たちと「オラ!(こんにちは!)」とあいさつを交わす日が早く来ることを心から願っている。
コルドバの街角
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BOOK
京都で町家旅館はじめました(双葉社)
京都に開業した町家旅館のマネジャーをつとめることになった著者が、開業準備から実際の運営に至るまでのドタバタとドキドキ、そして京都のお気に入りスポットなどを綴(つづ)ったエッセーガイド。1540円(税込み)。
旅の賢人たちがつくった
スペイン旅行最強ナビ(辰巳出版)
連載「ちょっと冒険ひとり旅」著者の山田静さんが中心となり、スペイン旅行のノウハウを解説した1冊。バルセロナ、マドリード、アンダルシア地方、バスク地方など、スペインの魅力的な場所を網羅。行き先選びから日程作り、航空券やホテル、トラブル対策までスペイン旅行の準備から帰国までを完全カバー。1650円(税込み)。
PROFILE
山田静
女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『旅の賢人たちがつくった ヨーロッパ旅行最強ナビ』『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)、『決定版女ひとり旅読本』(双葉社)など企画編集多数。最新刊『旅の賢人たちがつくった スペイン旅行最強ナビ』(辰巳出版)。2016年6月中旬、京都に開業した小さな旅館「京町家 楽遊」の運営も担当。
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からの記事と詳細 ( 巡る、泊まる、食べるコツは? 魅惑のアンダルシア#4 - 朝日新聞デジタル )
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